サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

「資本主義の次に来る世界」⑪成長幸福の幻想

「資本主義の次に来る世界」のつづきです。
 GDPは人を幸福にしない。「GDPの増加は重要な社会的成果の向上にほとんど寄与しない」-著者は、事実を持って指摘する。
 平均寿命。米国は一人当たりのGDPが5万9500ドルで、世界で最も裕福な国のひとつ。平均寿命は78.7才だ。韓国は、米国より所得が低いが平均寿命は82才だ。
 ポルトガルは所得は、米国の65%だが平均寿命は81.1才、EUの所得は米国より36%低いが平均寿命も福利に関する指標で上回っているという。
 コスタリカは、環境負荷を抑えながら高水準の福利を実現している。1980年代に、一人あたりのGDPが米国の1/7だったが、平均寿命で米国を追い抜いたが、まったく成長せずに実現した。
 フィンランドの優れた教育は、知られているが米国より一人当たりGDPは米国より25%低い。
 これらの事実は、質の高い公的医療制度と教育制度への投資こそ、重要だということだ。
 米国の営利目的の民間医療システムは、一人当たり9500ドルの高い費用を吸い上げているが、平均寿命は、スペインより5才も長い。一人当たり2300ドルで質の高い医療を提供し、83.5才の平均寿命となっている。

 国連によると、8000ドルで平均寿命を延ばし、8700ドルで教育指数を非常に高いレベルに上げることができるという。
 各国は、一人当たり1万ドル以下で、医療と教育だけでなく重要な社会指標--雇用、栄養状態、社会的支援、民主主義、生活満足度などを高いレベルにしながら、環境負荷をプラネタリーバウンダリー以下程度にとどまる事ができる。これは世界の一人当たりのGDP平均値1万7000ドルを大幅にした回っている。
 あくなき経済成長が必要だとする考えは幻想で、資本主義のイデオロギーに支配されていることを示している。