サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

脱成長への道① 麻薬・宣伝広告・軍事産業

  私が脱成長という考えを知ったのは、斎藤幸平氏の「人新世の資本論」を読んでからで、2年ちょっと前だ。
 「脱成長への道」この本の出版は、東日本大震災があった2011年で、もう12年も前のことだ。
 かなり前から脱成長の考えが唱えられていたのに、地球環境問題も学び始めていたのに、私は大事な事に触れず、考えてもいなかった。
 パトリック・ヴィヴレの「満たされない心-過剰な生活の原因と産物」節を紹介したい。
 国連の「人間開発報告1998年版」は、途上国の人々などが、必要な食料、飲料水、基本的な保健医療、最低限の住居など、人間の生存に不可欠な費用の総額を計算したら400億ドルだと発表した。
 しかしそれを世界は捻出できないでいるとし、ところが麻薬産業に費やされている費用は4000億ドルと報告。宣伝広告費も4000億ドル。軍事産業は8000億ドルで20倍にもなっている、と。
 これら麻薬、宣伝広告、軍事の予算は、何に対応するだろうか? とパトリックは問い、それは、満たされない心、生きづらさ、虐待を管理するための予算だと、指摘する。
 たしかに薬物中毒に陥っているのは、生活がうまくいっていないからだ。
 軍事産業は、虐待、恐怖、支配を管理し、これも本質的には生きづらさを管理するためだという。
 宣伝広告も本質的には、消費社会において”慰め”の効果をもたらすために機能しているとする。
 この三つによく当てはまるのが米国社会だ。
 米国の薬物中毒患者は500万人だし、GAFAはプラットフォーマーとして広告産業に君臨し、絶え間ない戦争で戦時経済体制を敷いている。中国だって米国の真似をしているし、日本は米国に従属している。
 つづく