「希望の歴史」Humankind のつづきです。
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1964年3月13日の金曜日の真夜中に、キティと呼ばれる28才の女性が暴漢にナイフで刺された。
彼女は「助けて! 刺された! 助けて! 」と叫び声をあげた。
近所の人は叫び声に気づいたが、誰も助けに行かなかったという。
警察への通報があったが、駆けつけた時は遅すぎて彼女は亡くなった。
3月27日のニューヨーク・タイムスの見出しは「殺人を目撃した37人は警察を呼ばなかった」となっていて、市民38人は、30分以上にわたって、殺人犯が女性を3度襲うのをみていた、というような記事だった。
通報者は「巻き込まれたくなかったのです」と答えた。
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この事件を発端に13日の金曜日は、不吉な日として多くに人に知られている。
有史以来、人類は数限りない戦争や残虐な事を行ってきた。それらは学者によって「分析」され理論家され、大学で教えられ、社会一般の認識になっている。人間には残虐性がそなわっていて、スイッチが入るとそれを行う、と。
だが、ルトガー・ブレグマンは、事実はどうだったのか検証する。
(ブレグマン・写真:ウィキペディアより)