サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

裁かれるは我なり−袴田事件裁判官

 注文していた元裁判官の熊本典道氏の事を書いた「裁かれは我なり」(双葉社)が届いた。
 山平重樹著、まだ途中ですが、わかりやすく思いが良く伝わります。
 で、何回かに渡って引用・紹介します。

 熊本典道さんは、冤罪事件が極めて濃厚な袴田事件の主任裁判官でした。無罪と確信しながらも、合議の多数意見に従い、心ならずも死刑判決を書いた。
 2007年3月9日、熊本さんは、衆院議員会館で行われた「死刑廃止を推進する議員連盟の勉強会」で、39年前の裁判について語った。元裁判官が判決のことについて語るのは異例中の異例のことです。

裁かれるのは我なり―袴田事件主任裁判官三十九年目の真実

裁かれるのは我なり―袴田事件主任裁判官三十九年目の真実

 そのきっかけは3年前の事だった。熊本さんは良心の呵責に苛まれ、たびたび自殺をしようとした。
 最後のそれは、スウェーデンでの客船でのこと。
 彼は船から飛び降り自殺しようとして、デッキに出て、夜がふけ人がいなくなるまで待っていた。いっしょに残っていた少年。
 海を見つめながら飛び込もうと思っていたとき「ボーッ」と汽笛が鳴り響いた。艦内放送があった。
 その少年がいなくなった。自殺したのだ。
 熊本さんは、少年の最後の目撃者として、警察から事業を聞かれた。
 そして考えた。
 「自死することは、これだけ周辺の人を心配させ、心労をあたえる」「もしかしたら、あの少年はオレの身代わりになってくれたのではないか。おまえには、死なずに生きてやらねばならないことがあるだろう」と。それが、裁判について語るきっかけとなった。