サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

「台湾有事と日本の危機」⑥日中共同声明

 台湾有事と日本の危機」(峯村健司著PHP新書)のつづきです。
 中国により演習と機雷の敷設で、台湾はエネルギーや物資不足に経済的危機、国民生活苦と不安に陥った。
 危機回避のために頼政権が求めた「人道回廊」を認める代わりに、中国側は「統一」に向けた「徹底的な民主的協議」を提起した。
 軍事力の直接行使で激しい戦闘と行って武力統一を進めるよりも、この流れこそ中国が進みたい方向だろう。
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 著者は、「在日米軍が抱える深刻な問題」を示している。
 そのひとつに、平和団体などが米軍基地の出入り口を座り込みなどで封鎖したり、バルーンやドローンで飛ばして妨害するなどをあげている。平和的な抗議活動はするだろうが物理的な行動をするとは考えられない。
 もうひとつ。著者は、米軍が米軍基地から戦闘行動をとる場合、日米安保6条による事前協議が必要だとし、日本はその対応の検討を求めている。その際には、中国にいる邦人を拘束して、日本に米軍基地使用を認めない圧力をかける事を予想している。
 結論は台湾有事は日本有事、という事だ。
 つまり米軍の出動を認め、米軍と自衛隊、日本国民が参戦し、南西諸島~九州、場合によっては本州の米軍基地もミサイル攻撃も覚悟して望めというものだ。
 日本から中国に、米軍の艦船や航空機が発進し、攻撃に向かえば、日本は戦争当事国になる。中国からすれば日本は敵国となり、自国防衛のために日本の米軍基地が攻撃が許される。民間空港や港湾を米軍や自衛隊が使用可能にしようとしているが、その場合も軍事目標として攻撃対象となる。
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 国際法上、独立国でなく、中国の一部である台湾が、内戦の決着として武力で中国に併合させる場合、日本は武力使用には反対しながらも米国、台湾の側にたって参戦する事はできないだろう。
 それは「日中共同声明」の存在だ。
「日本政府は、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認する」
中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言(降伏文書)8項目に基づく立場を堅持する」
とした。
 これを条約として国会で批准したのが「日中平和友好条約」だ。
 日本の参戦は、条約の一方的破棄を意味する。
 最悪、中国の危機打開策、エスカレーションによっては、日本は核攻撃も覚悟しなければならないだろう。
 ここで「米国の核抑止力」があるから安心という理屈はとおらない。
 米国民は、米国国民の安全と従属国の国民の命のどちらを大事にするか?
 米国民は米国本国への攻撃、核ミサイル攻撃は絶対的にさける。
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 (図はウィキペディア:台湾との外国→緑が国交持つ国/青は非公式外交関係)