「アメリカは日本を守らない」--米軍最強という幻想--のつづきです。
チョークポイントとは、海洋国家にとって地政学的な海洋力(シー・パワー)にとって重要な海上水路、主に海峡や運河を指す。
著者は、アメリカにとって重要なチョークポイントの項目があるそうだ。
ジブラルタル海峡--大西洋←→地球海
スエズ運河 --地中海←→
バブ・エル・マンデブ海峡--紅海←→アラビア海
パナマ運河 --カリブ海←→太平洋
ホルムズ海峡 --ペルシャ湾←→インド洋
マラッカ海峡 --南シナ海←→インド洋
ルソン海峡 --バシー海峡・バリンタン海峡
7つもあるという事は、アメリカが世界中の海に強力な海軍力を持っている事を示している。
しかも北米の本国アメリカは、大西洋と太平洋に挟まれていて、決定的なチョークポイントはない。
さらに、食料もエネルギーも自給できるので、海上輸送に困難があったとしても大した事はない。
しかし、小さな島国はどうだろうか? そんな力はない。
平等原則から言って、大国、強国が強い影響力を行使するのは許されるのか?ギモンだ。
米国にとって、本国とは遠く離れた同盟国の周辺海域は防衛の最前線であり、相手国にとっては防衛の最前面にあり、そこで軍事的な対峙を構成している。
場合によっては、自衛という防衛の口実で、相手国に先制攻撃を仕掛ける、仕掛けてきたのが米国だ。朝鮮戦争もベトナム戦争も湾岸戦争も、対テロ戦争を口実としたアフガン、イラク戦争も、その他の軍事介入もやりたい放題だった。自国防衛とは関係ない。
だいたい核を持ち圧倒的軍事力を持ち、経済力もメディア支配力も強い米国に先に攻撃を仕掛ける国はない。
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中国のチョークポイントは、マラッカ海峡とルソン海峡だ。
海洋貿易が多くを占める中国にとって、二つの海峡が閉じられると重大なピンチに陥る。
軍事的にも、戦略原潜の基地がある海南島がある南シナ海から、軍艦や潜水艦が太平洋とインド洋に出る狭い航路は、米国と違い死活にかかわる海峡だ。
だが、海峡は大国のものではない。民間艦船や漁船ほかも自由な航行が保障されるべきだ。
なんなら海峡については、非軍事の海域として条約を作るべきではないか。