「資本主義の次に来る世界」のつづきです。
著者のヒッケル氏は、大量消費を止める5つのブレーキを提唱。
そのステップ①が計画的陳腐化を終わらせること。その例を紹介している。
1920年代の米国のジェネラル・エレクトリック社ら電球メーカーはカルテルを組んだ。
当時、2500時間ほどだった白熱電球の寿命を1000時間以下に短縮。売り上げと利益が急増し、現在に至る計画的陳腐化が普及した。
冷蔵庫や洗濯機などの家電製品は、平均寿命が7年以下に落とされているようだ。機械全体が壊れるのではなく、部品が壊れ修理が高くつくという事で、修理より買い替えを選ぶことになる。
私も最近経験した。
買って間もない電動工具のバッテリーを、ミスで地面に落とした。丈夫そうな電池なのに充電しなくなった。
配線が外れたかと思ってバラしてみたが電子基板があるだけで大きな異常は見当たらない。中のリチウム電池は壊れていないはずだが、充電しない。工具なので落としたぐらいで壊れない製品は作れると思うが‥‥。買い替えが必要。
ja.wikipedia.org
(車の例-写真ウィキベテア)
スマホ。著者はアップルの3つの戦略を紹介している。
①使い始めてから数年たつと動作が遅すぎて役に立たなくなる。
②修理は不可能か、ありえないほど高額
③広告キャンペーンによって、自分が使っている製品は時代遅れだと人々に思わせる。
スマホは2010年から2019年間に130億台を販売されたが、使用されているのは30億台ほどだそうだ。
つまり10年間で100台のスマホが廃棄されたことになる。
毎年、1億5000万台の廃棄コンピューターがナイジェリアに輸送され、金属を回収した後は野外のごみ捨て場に山積みされ有害物質を垂れ流している。
使い捨て製品がその典型だ。ナイロン製のストッキング、充電器のポートを新しく変えるほか、なんでもあり。パソコンソフトのやたらのアップグレードも覚えるのに大変だ。
技術は、利益のためにひどく歪められている。
本来なら、利便性は失われずに長持ちし、資源のムダ遣いも廃棄を少なくなる技術があるのに、その開発は止められているからだ。成長要求に反するから。
著者の提案は単純明快だ。
例えば製品の保証期間を延ばすこと。10年とか25年とか。法律で。追加費用も掛からない。
また、「修理する権利」を法で保障する。
または、リース方式に替え、メーカーに修理の責任を負わせ、アップグレードの効率を高めるなど。
衣服、家具、車、住宅など、もし4倍に長道すれば、資源消費は75%も減らせる。社会全体では、ムダの労働時間、ムダな自然が減らせて、環境負荷も減らせる。
なんで? そうならないのか? 次回に。