サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

「資本主義の次に来る世界」⑥人為的希少性

「資本主義の次に来る世界」のつづきです。
 今、私たちを支配している思想は、「成長」という神話。グレタによればおとぎ話。
 物は不足していないのに、必要な人に与えらないので人為的な希少性を作り出すのが資本主義。
 著者は、希少性を生み出す原点、コモンズを奪う「囲い込み」の当時の地主や学者のコメントを紹介している。
 「コモンズの使用は一種の独立心を生じさせる」
 囲い込みによって「労働者は一年中働き、その子どもは早くから働きに出されるようになる‥‥したがって、現在非常に望まれている下層階級の隷属はかなり保たれるだろう」--(イギリス:ジョン・シュロップシャー卿)
 「愚か者は以外は知っているはずだが、下層階級は貧しいままにしておかなければならない。そうしなければ彼らは決して勤勉にならないだろう」--(農学者:アーサー・ヤング)
 「彼らを刺激し、労働へ駆り立てることができるのは飢えだけだ」、「法による拘束には多大な困難と暴力と雑音が伴う‥‥一方、飢えは、平和的で静かで絶え間ない圧力を彼らにかけるだえでなく、きわめて自然に彼らを勤勉にし、最大限の労働を引き出す‥‥飢えは、どう猛な動物をおとなしくさせ、最も野蛮で頑固でひねくれた者の慎みと礼儀を教えるだろう」--(牧師:ジョセフ・タウンゼント)
 「常に観察されることがだ、欠乏が何年も続き、それが極端で出ない場合、貧民はより勤勉になり、より良くいきるようになる」--(哲学者:ディビット・ヒューム)
 現代でも、表ではいわれないが支配層の心のうちはそんなもので、資本主義に成り立ちとして過去から引き継いでいる。

 イギリスによるインドの植民地政策はよく知られている。自給自足経済の解体だ。
 穀倉地帯を荒廃させるため灌漑システムを私有化、材木や家畜の餌、狩猟の場であった土地を囲い込んだ。そして綿花など換金作物への転換を行った。輸出のために。
 インドでは19世紀末の25年間で30万人のインド人が飢え死にした。彼らが飢餓に苦しんている時も食料はふんだんにあった。その時期にインドの穀物輸出量は300万トンから1000万トンと増やされた。
 つまり、資本主義は、強制的に囲い込みを行い人為的に希少性を作り出し、収奪していった。その時、人間の収奪ともに自然も収奪されていった。その流れが今日につづいていて、自然と生態系の破壊が限界を超えつつある。
(図-植民地にされた当時のインド:Wikipediaより)