「資本主義の次に来る世界」(東洋経済・ジェイソン・ヒッケル著)の続きです。
「はじめに」の部分は、「人新世と資本主義」なっており、人類が破壊しつつある地球の様々な姿を概括し、その原因は資本主義というシステムにあることを明らかにした。
そこから脱成長的な未来をめざすような内容である。とてもわかりやすい文章で、訳がいいのか、こんな文章が書けたらいいなと思う。私は書きなおしの連続。
第一章は、「資本主義---その血塗られた創造の物語」
⇒国家による農民の土地の「囲い込み」が残虐なやり方で広く行われたこと。この辺りは、少し学んだ程度の知識だった。
初めて理解したのは、「囲い込み」が行われる前の時代、農村地域は平等でコモン型の社会だったということだ。
農民たちは、封建制度を倒しながら、牧草地、森林、川などの自然は共同管理されたコモンズだった。農民たちには、比較的自由な時代だったようだ。
しかし「囲い込み」が強行された。各地で農民たちは抵抗し、反乱を起こした。1524年のドイツ農民戦争では、軍隊が送り込まれ10万人の犠牲者を出しながら鎮圧された。イングランドでも、ヨーロッパ各地で反乱は残虐なやり方で押さえつけられた。
自給自足の社会を支えた森林や川や草原が私有財産とされ、そこから農民たちは立ち退きを命じられた。森や川があれば、薪を拾ったりキノコを採ったり、魚を獲ったりして、自給生活も可能だが、それらを一切奪われては、都市に流れ込んで賃金労働者になる以外になかった。
いま、当たり前に思われている資本主義の誕生は、そんな血塗られた歴史を持ち、略奪から始まった。人々とともに自然も。
であるので、現在でもそれは、続いているということ。地球環境の破壊も貧困による人間の破壊も資本主義の本質から生まれている。