サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

「ドーナツ経済」⑧ニュートン株で大損

 ドーナツ経済--先日のニュートンのつづきです。
 1720年、「南海会社」(南米の植民地との貿易の独占権を与えられていた英国の会社)の事業が成功を収めたという間違ったうわさをきっかけに、株価が急激に上がり始めた。
 すでにその株式をいくらか保有していたニュートンは、4月、株式を売却して大きな利益を得た。
 しかし株式の上昇はその後も続き、国全体が熱狂に包まれると、市場の誘惑にあらがうのがむずかしくなった。6月ニュートンはかなり高騰していた株式を購入した。
 それはバブルがピークに達して崩壊するわずか2ヵ月前だった。その結果、それまでの長年の蓄えは一挙に失われた。
 「天体の動きは計算できても、人間の狂気は計算できない」ニュートンは語ったとされる。
.
 バブルの崩壊は、日本でもあったし、米国のリーマンショックが世界に及ぼした記憶も新しい。
 隆盛を誇った文明ですら、どこかの時点で行き詰まり崩壊している。
 21世紀の現代は、地球環境破壊と社会的不平等の拡大でティッピングポイントに向かいつつある。
.
 いまから50年前の1972年、ローマクラブが「成長の限界」という報告書をまとめた。
 経済成長を左右し、最終的には限界に至らせる要因として、
 人口、農業生産、自然資源、工業生産、汚染の5つで、シュミレーション「ワールド3」を考案した。
 世界人口と生産の拡大によって、石油や鉱物や金属などの資源が枯渇し、やがて工業生産と食料生産が減りはじめ、最終的には、飢饉、大幅な人口減少、全世界的な生活水準の著しい低下が招かれると予測した。
.

.
 あれから50年。資源の枯渇には至っていないが、汚染物質の排出が止まらず、温室効果ガスの排出によって気候変動がはじまり、パキスタンの大洪水や各地の森林火災が記録的な規模で進行している。
 他にも海洋酸性化、土地の改変、生物種の絶滅、マイクロプラなど化学物質の排出なども、危機的状態に向かっている。
 資源の採取は労働をともないコストなるが、廃棄(CO₂など汚染物質)は、タダなので抑制が効かない。
 結果、現在の地球環境問題を引き起こしていて、危機は叫ばれ、国際会議が開かれつつも、効果ある対策が打たれずムダに時間を消費している。
 つまりこれまでの経済、人間活動全体と自然の関係が考慮されていない。
①環境再生的な経済→→地球環境の許容限界内で繁栄を遂げられるよう、人間が地球の生命サイクルの一員としての務めを果たすこと。
②分配的な経済→→→生み出された価値がほんのひと握りの人々のもとに集まるのではなく、広く行き渡り、人々のあいだに循環するよう設計された経済。

adayasu.hatenablog.com