サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

生物多様性の経済学③ 土壌

 「ダスグプタ・レビュー」紹介のつづきです。
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 私が地球温暖化の勉強を始めて15~16年になる。
 最初は、気温上昇の問題に関心があったが、最近は温暖化にとどまらず、多様な生態系の喪失もからむことが極めて大事だと分かってきた。
 なので、単に日本など先進国が温室効果ガスの排出を減らせば済むような問題ではない。
 グローバル経済の中で、世界中を物の移動を繰り返し、私たちは便利になって良かったと思っているがそう単純ではない。
 その素材が元々あった地域で、その生態系に強い環境負荷をかけている可能性があるからだ。
 それらは、意識的に知らないとわからないし、知らないなら知らない間に罪を犯していることになる。
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 生産性という考え方には注意が必要です。(P10)
 現代農業は、1ヘクタール当たりの生産性が高いとされている。
 しかし、これは生物多様性の犠牲の上に成り立っていて、その生産性は人間が欲しがっている単一の作物の量の事です。
 放牧地のヒツジや牛の生産性は高そうに見え、大事や小麦、アブラヤシのプランテーションも生産性が高いように見える。
 しかし、それは人間が目的とする種の量であって、生物全体での犠牲の上に成り立っていて、多様な生態系全体の生物生産性を減らしている。
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 今、アマゾンの熱帯雨林が切り開かれ畑や放牧地に変わっている。人為的なものも含め、森林火災も凄まじい。
 このまま進めば、「森が減った」では済まない現象になると科学者は警告する。
 アマゾンの熱帯雨林は、大西洋の水蒸気が雨をもたらしてなりたっている。降った雨はそこから蒸発して、また雲となってさらに上流部で雨を降らせる。このサイクルを5~6回も繰り返し、水分を広範囲に保ちながら豊かな自然を育んでいる。
 それができるのは、広大な熱帯雨林があるからで、これがなくなればサバンナ化する可能性が高い。当然、莫大なCO₂が排出され、温暖化も加速する。生態系と炭素固定は関連している。