サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

ポーツマスの旗

f:id:adayasu:20220106205507j:plain:left いとこから送られてきた、吉村昭の小説ポーツマスの旗を読んでいる。
 日露戦争終結にあたり、講和条約を結ぶためアメリカのポーツマスに渡り、ロシア側と交渉する内容だ。
 講和交渉の内容のほか、登場人物の描写も詳しく、史実にどれぐらい近いのかわからないけど、当時の国際情勢や国内情勢が想像できて面白かった。
 当時としては、ロシアも君主制・帝政であり、日本は立憲君主制として、アジアにしては進んだ国とされていたようだ。
 また、列強による植民地政策と戦争による領土獲得が当然とされていた時代で、ロシアは帝政でありながらもレーニン率いる革命が迫って国内の混乱もあったし、日本も新興国の勢いと、西洋に追いつく慎重さを備え、今とは違う外交努力してもいたようだ。
 講和に向かう小村寿太郎全権大使の交渉が小説の舞台となっている。
 
 ただ、列強のたたかいの下で、双方の傷つき犠牲になった兵士、その家族の思い、また、争いの地になった挑戦半島や中国の住民の被害は度外視されている。単なる外交交渉としては活劇的で、小説としては面白いと思えるが、読者としては、そのあたりも想像してもよいのではないかと思った。