サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

デジタル・ファシズム① 信用スコア

 堤美果さんの「デジタル・ファシズム」を読んだ。わかりやすく、恐ろしくなる内容、紹介したい。
 技術の高度化が凄まじい勢いで進む中で、便利なのだろうが、はたしてこれで人々は幸せになれるのだろうか?と疑わずにはおれない。
 「信用スコア」というのがある。
 堤さんが紹介するのは米ペンシルベニア州の福祉事務所。
 貧困家庭や困窮者など、福祉を利用する住民グループに関する膨大な個人情報をもとに、どの子どもが虐待や育児放棄に晒されるリスクが高いかをAIが解析し、数値でスコアを出して事前に予測して早期介入するという。しかも母親のお腹にいる赤ちゃんのうちから信用スコアが出せるプログラムだ。
 福祉関係の調査員たちは、人間的な経験よりもAIが判断した「虐待機危険度指数」を優先し、白人よりも有色人種の方が多く調査に回されるという。
 そして調査は監視対象となり、保護者は子どもが23才になるまで、州の児童虐待登録簿に名前が載せられる。子どもが成人した時に、「訳あり」として企業や役所に選別されないか心配だ。
 やがて信用スコアは、格差が進む中で、所得のある人が社会的な人格が高いとされ、お金がない人の人格が低くみられる社会となる。
 信用の次に数値化されるのは、思想信条や宗教や趣味、嗜好、関心事、行動履歴だろう。
 乗り物や商品購入などの支払い、様々な決済も、腕をかざすだけで埋め込まれたチップの読み取りで可能になるシステムが開発されている。
 人々の行動や思考と脈拍や血圧など生体データの関連さえ集積され、AIが解析する。それは企業の広告となって商品購買に利用されたり、権力筋から、知らない間にマインドコントロール・行動される事態になりかねない。
 便利は、あらゆる個人データの引き換えに他ならなくなる社会。
 中国ではそれが「社会信用システム」に典型的に進んでいる。まさにデジタル・ファシズム
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