昨日のつづきです。ぜひ本を読んで見てください。
多くの国で、カードやスマホでのキャッシュレス決済が行われている。
特に中国では、スマホ決済が徹底しており、使い慣れた人にはとても便利なようだ。
下は日本にいる中国人留学生があげる15の便利さです。
日本においては、スマホ決済が進んでおらず、現金しか使えないことを不思議に思っている。
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私も使っていないけど、確かに便利だろうし、盗難の心配のある現金よりも安全かもしれない。
でも、日本は使い慣れた現金、お釣りなどの計算力も含め、特段不便とは思っていない人が多い。
政府が躍起にやってキャッシュレスを進め、企業は〇〇ペイとかのCMをしょっちゅうながしている。
それでも日本の決済率は2020年で3割台だそうだ。
しかし決済、金の流れは、個人の生活そのものだ。
先の中国人留学生の15項目、電気、ガスの使用料が分かれば、自宅生活の想像ができる。交通違反の内容、物販、宅急便で送った物や金額、乗り物の予約、宿泊やレストランの予約、映画館、支払い金額などかなりの事が掌握できる。
それに、様々な検索もするだろうから興味関心もプラットフォーマー側は照合できる。
これに預金残高や病気や健康など、身体状況まで合わせれば、個人像を丸ごとつかむことができる。
中国ではこれらの情報が信用スコア--アリペイの「芝麻信用」として、学歴、勤務先、資産、人脈、行動、返済履歴の5項目から点数化されている。
アリペイを扱うアリババ本社から、地下鉄駅に「社会信用スコアが低くなると、ローンや融資の審査、求職や入学など、様々な場面で日常生活に影響が出る可能性がある」と警告表示されるという。
そうなれば個人のプライバシーはないし、企業や当局にその情報が握られていると思うと、何かの時に攻撃材料として、これ以上のものはない。
便利なデジタル決済を否定するわけではない。しかしそれは個人情報の保護の担保、国家と企業に対する規制と信頼の確保こそが前提となる。
堤未果さんは、本のプロローグでSF作家のアーサー・C・クラークのこんな言葉を紹介している。
「技術はある地点から、専門家以外には魔法と区別がつかなかくなる」と。
権力者・企業・専門家が技術を使って人々を支配できるということだ。
(図表は同書より)