ナオミ・クラインの「気候変動VS資本主義」=これがすべてを変える―を読んでいる。紹介したい。 ナオミ・クラインは、リーマン・ショック時の事を書いている。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で、株価は急落し、経済は大打撃を受けている。今回は株の下落にとどまらず、実体経済を悪化させており、金融危機だったリーマンショック以上だといわれている。
これほど国際的にも国内的にも、移動が自粛・抑制され、航空機もクルーズ船も動かないとなると、2009年のリーマン・ショックの時のように、それなりにCO2排出が減少すると思われる。
以下のNRI研究員の時事解説サイトから引用すれば、
「航空機の航路を追跡する『フライトレーダー24』によれば、世界の1日の運航便数は3月21日までの7日間に、前月同期間に比べて20%余りも減少した。
また「欧州36カ国の送電事業者43社が加盟する欧州送電系統運用者ネットワーク(ENTSO-E)のデータによると、欧州では、3月18日の電力消費量は、2月半ばの週の同じ曜日に比べて15%減少した」
「中国では、発電所の石炭消費量が年初の水準を30%下回っている」となっている。
今年のCO2削減幅が仮に7%ほどだったとすれば、この削減率をずっと維持していけば、1.5℃以下に向け、10年後の2030年は約50%削減が実現可能となる。さらにこの調子で2050年実質ゼロへと進めば世界は長期的に救われることになる。
これは、温室効果ガスの削減としては、実際的な参考になるだろう。新コロナ感染者や経済的打撃を受けている人は大変なので、支援を強化しなければならない。それぐらいの富の蓄積は十分ある。持っている人と企業に吐き出させよう。
人間は欲に目がくらんだ経済活動で、自発的にCO2削減ができないでいたが、ウイルスが突き付けた削減実感を、参考にした方がいいだろう。もっとも、その間の急いで化石燃料依存から抜け出し、再エネにしっかりシフトし、低所得者への打撃を緩和し、それなりの豊かさを享受していけばいい。そうなれば、未来の人たちの生存も保障できる。
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ところが、ナオミ・クラインによれば、リーマン・ショック後の2010年には、前年の反動で5.9%増加し、産業革命以来の高い増加率になったそうだ。そうならないように、感染対策、医療保障、そして経済政策を新しい姿に進めていくことを望みたい。
- 作者:ナオミ・クライン
- 発売日: 2017/08/31
- メディア: 単行本