サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

朝鮮戦争の時、原爆使用の可能性-朝鮮戦争はなぜおわらないか⑤

 広島・長崎への原爆投下以降、何回も核兵器が使われようとしたことはあります。
 朝鮮戦争でも中国の人民義勇軍が参戦してきたとき、マッカーサー国連軍司令官は、核兵器の使用を公に主張しました。
 その原爆の数は26発、更に8発の使用を求めていました。
 「『朝鮮戦争を10日で終わらせるため』として、満州に30〜50発の原爆を投下し、強烈な放射能を出す『コバルト60』のベルトをつくる。そうすれば『少なくとも60年間、北方から北朝鮮に陸路で親友することとはできなくなる』」(マッカーサーのインタビューを載せた「北朝鮮アメリカ 確執の半世紀」)だそうですから恐ろしくなります。
 当時のトルーマン米大統領も「米国は保有するすべての武器を使用する用意がある」と発言し、原爆の使用をチラつかせています。今のトランプ大統領の発言に似ていますね。
 でも、実行できなかった理由の一つに日本の原爆への世論がありました。
 これには中国も北朝鮮も、相当な恐怖だったでしょう。それでおとなしく引き下がるハズはありません。当然、対抗策をとる、それが核兵器の開発です。
 中国は、1964年に原爆を開発しました。北朝鮮も同じ動機で核兵器を開発してきました。
 昨年、122ヵ国が賛成し、核兵器禁止条約ができました。この条約こそが核開発競争で悪循環に陥る事のない、偶発的な核爆発が起こる事のない平和への公平な第一歩です。
 ところが被爆国である日本のアベ政権が、核兵器禁止に背をむけ、トランプ政権の新たな核兵器の開発政策を「高く評価する」と言ったのです。
 最大の核兵器実戦配備国・米国が、更に核開発を進めるなら、対抗策として中国も核開発をすすめるでしょう。そうなれば、対立状態にあるインドが核開発を進め、対立するパキスタンも核を増やすかもしれません。対抗策を理由に、ロシアも核開発をすすめるでしょう。
 そうなると、日本も核を…と言い出す人もいるでしょう。大量のプルトニューウムを持っている日本なら1〜2年で核開発可能でしょう。
 そうなれば韓国は? フィリピンや東南アジア諸国だって核を持ちたがることになります。
 米国の銃社会と同じです。恐怖のジレンマから抜け出せません。
  米国の銃社会は国民が支えています。核抑止力論は自民党アベ政権が支え、その政権を支えているのは国民です。残念な事に、
  なぜ?    って思います、いつも。
 五味洋治著「なぜ朝鮮戦争は終わらないか」より。