今日の「朝日」のオピニオンで、尖閣列島戦時遭難者遺族会会長の慶田城用武さんのインタビューが載っていました。
慰霊の事を私は、正しくは知りませんでした。
沖縄戦の組織的戦闘が終わった後の1945年7月3日、石垣島から台湾に疎開しようとしていた船が、米軍機の機銃照射で攻撃されました。そして魚釣島に漂着、たくさんの人が亡くなったそうです。
その遺族会会長の慶田城さんは、当時2才、5才の兄を銃撃で失いました。
慶田城さんたちは、二度と戦争を起こさないとの願いから遺族会を結成し、毎年、7月3日に慰霊祭を行なってきたようです。
ところが今年2つ目の慰霊祭が8月18日に行われました。「日本の領土を守るために行動する議員連盟」会長の自民党山谷えりこ議員らが行いました。神道形式です。最後には「君が代」を歌ったそうです。
翌日は150人が21隻の船に乗って尖閣諸島に行って洋上慰霊祭を行い、10人が泳いで魚釣島に上陸したらしい。
遺族会の慰霊祭は、神道でなく仏式だそうです。偏狭なナショナリズムの思想を持つ活動家たちが、過激な行動で挑発しあっている時期に、こんな慰霊祭をするのは紛争の火種になりかねないと、慶田城さんは懸念します。
そして「石垣は国境の島だからこそ、守るのではなく、開いていった方がいい。交流が進めば信頼関係が生まれ、それが結果的に守る事になる」と主張します。
そして慶田城さんは、石原都知事の尖閣諸島購入を支持する人たちは、日本の主権を守るためだと言うが、米軍に治外法権的な特権を与えて、米軍や軍属の事件や事故の被害で主権を侵されている事に何もしてくれない、強行されるオスプレイの配備に反対しない、と批判します。
「遠くにいる人ほど、大きな声で勇ましい事を言える。その結果生じる『ツケ』はまた、私たちに回ってくるのでしょう」と鋭く告発する。
ページの下段の「死者を領土主張に絡める危うさ」−哲学者の高橋哲哉さんのコメントも本質をついています。