サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

神宮外苑再開発--斎藤幸平①

 「月間日本」9月号--「私利私欲のための再開発は許されない」-斎藤幸平氏へのインタビューを読んだ。
 斎藤氏は、神宮外苑再開発の認可取り消し訴訟の原告でもあり、開発の問題について語っている。
 ポイントは、神宮外苑は「公共物」-コモンでもあり、地権者が何をやっていいわけではないと批判する。
まず外苑の1/4は国有地。歴史的には、明治天皇を称える趣旨で、国民に求めた献金、献木、ボランティアに、多くの市民応えてできたもの。その結果、100年間も美しい景観に人々が日常的に親しんできている。
 再開発で大企業は儲けるが、批判もあって本数は減らされるが銀杏の木が伐採されたり、開発の壁杭などで影響を受けるなど懸念されている。
 ニューヨークは、200万本もの街路樹の植え付けを進めているし、五輪開催地のパリも広場を緑化しているのにと。
 次に斎藤氏は、神宮外苑再開発反対運動には、多くの市民が参加し、様々な能力を生かしていて、「大きな団体」や「たった一人の指導者」影響力を与えていないと事を、運動論の発展として捉える。
 共産党労働組合が主導し、動員によって集められる垂直型の運動を「20世紀型の社会運動」と呼び、多数決ではなく、自由に意見を発言しながら全会一致で物事をきめる、水平型のネットワーク運動を「21世紀型の社会運動」とする。米国での「1%VS99%」-ウォール街占拠運動がそれにあたると。
 しかしウォール街占拠運動にも、①参加者は経済的・時間的余裕があり、女性より男性、黒人より白人が多かった。②直接民主主義を理想化していた。③リーダーがおらず意見の取りまとめが難しい、など問題点があったと指摘する。
 そこで新しい社会運動として「ブラック・ライヴズ・マター」の創設者のアルシア・ガーザガ唱える「リーダフル」に注目する。
 レーニン毛沢東のように突出したリーダーが指揮するのではなく、リーダー的な存在がたくさいて、「自治」を実践し、意思決定を行うことができれば無秩序な運動にはならないとする。(米国のコミュニティ・オーガナイジング)
 神宮外苑再開発反対運動は、そのような運動として、日本の新しい運動の可能性があるいう。
「住民思いの杉並区長をつくる会」は、岸本区長を擁立する際に、政党や労働組合に頼らず、自分たちで政策集をつくった。政策集の「戦略」を市民がつくり、「戦術」は岸本区長が担って、区政で実現させる、戦略と戦術の逆転があると指摘する。
 重要なことは「自治」。市民たちときちんと議論し、方向性が決定できれば、一時的に必要な妥協も受け入れることができるし、壁にぶつかっても打開できると主張する。
 なるほど。これは、新しい運動の方向として、大いに探っていく必要がある。
 と同時に、いくつか感じる事もあるので次回に。