サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

日本の社会運動・市民運動はどうあるべきか?-斎藤幸平氏

 斎藤幸平さんの主張には共感し、国際的な視座に斬新さを感じている。
 しかし、
jimmin.com
  新左翼系「人民新聞」インタビューで述べているいくつかの部分には賛同できない。過去から現在に至る日本の近代史や現状認識に不足があると感じられるから。
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f:id:adayasu:20210612195806j:plain:left 「人民新聞」で斎藤さんは、安保法制や原発再稼働が強行された関連から、「政治主義=選挙主義に陥り、民主主義が形骸化してきた」と述べているが、これは短絡だろう。
 私なんかも地方の熊本ではあるが、これらの運動を必死にたたかった。当時、懸命にたたかった人たちの努力への思いがないし、運動の事実経過、認識に軽さがある。日本の歴史や運動についてもう少し学んだ方がいいと思う。
 また「代議制民主義の形骸化」について、なぜ形骸化してきたのか? 日本においては西欧とちがい自民党の事実上の一党支配がつづき、一度しか「政権交代(保守内)」が行われていない歴史がある。
 それら「民主主義の形骸化」をひとくくりに野党や左翼の責任にするのは、お門違いというものだ。「人民新聞」社は喜ぶだろうが、国家権力筋も拍手していることだろう。それに、「形骸化される」ほど、日本の民主主義は、主権者国民のものになったことがなく実体験がない。
 それほど日本の支配権力は、強固な基盤を持ち、選挙制度の改悪、メディアや司法や官僚組織のコントロール、野党や労働組合分断など、戦前から連なる戦略的な基盤の構築を行い、イデオロギー支配は国民の内面にまで深く及んでいる。そんな歴史を経て、悪戦苦闘しながら今もたたかっている。
 残念ながら、苦労して闘ってきた人たちへの思慮がないが、それは国家権力の凶暴さに直面したことがないからだろうし、あまり知らないからなのだろう。
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 また「急進的な運動を批判し、妨害・排除するようになる」とあるが、日本の過去の学生運動の問題点を理解しているのか?と言いたい。
 そもそも日本の国家警察はそんなものは、利用こそすれ真面目に相手にしていない。警戒すべき真の相手はキチンと見定めて、人も予算も情報も協力者をつけてしっかり対処している。だから彼らの支配は続いている。
 占拠運動や「絶滅への反逆」の活動を日本でもやりたいところだが、不用意に今の日本でやったら、当然メディアの報道は権力よりになるし、国民の世論も支持も離反し、運動は孤立するだろう。
 斎藤さんは今は、メディアにも露出し、人気を博している。子どももいじめられてもいないだろう。しかし権力が本気を出したら、主要メディア、雑誌からも排除され、圧倒的にたたかれる立場になる。社会的に孤立無援になり、場合によっては様々な個人攻撃が仕掛けられる。様々な悪法が強行され、憲法が改悪あれたらそんな社会へと、今の日本は突き進みかねない。
 それを食い止めてきたのは、古くからの運動だし、国会で激しく闘っている左翼を中心とした(保守も)政党でもある。
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 とは言え、斎藤さんには、とても期待している。
 私もマルクス主義のササクレとして、いろいろ学びたいし、知恵を出し合いたい。
 特に議論し、知恵を出し合いたいのは、日本においてどのように社会運動や市民運動、労働運動などを広げるか、だ。この重い課題を野党や左翼政党や運動関係者ほかと、ぜひ議論し合い新しい展開をしたいと思う。
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 いつか熊本にも、斎藤さんを招きたいを思っている。チッソ・国・県など、人による物質代謝の攪乱が不知火海八代海に及ぼし、水俣病をつくり拡大させた。斎藤さんが指摘する物質代謝の亀裂は、今、不知火海八代海のようなことが惑星規模で起こっている。
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 今も水俣病のたたかいは続いている。誰が運動を裏でささえてきたのか、被害者や運動している人の話を聞きに、現場に来てほしいと思う。
 互い学び合うこと、この成長は互いに大事だ。
 
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