「2050年のメディア」(下山進著)の続きです。紹介します。
「日経」は未来をデジタルにかけている。電子版をとっている読者のうち20代の比率は15%だそうだ。これは、かなり高いといえる数字ではないか。
日経は、デジタル化で成功していたフィナンシャル・タイムスを2015年に1600億円で買収した。かなり思い切った買い物だし、先見の目が経営陣にあったということだろう。
「記者ひとりひとりの個人の体験、分析と意見が色濃く出た、そこでなければ読めないような記事でなくては、ウェブでは有料の記事を人々は買ってくれない」-これを買収したフィナンシャル・タイムスから学んだ。
大事なことは、個人の顔が見える記事を書くこと、情報過多の時代、これはどんな記事にも言えることではないだろうか。記事は、記者がSNSでの拡散もOKだそうだ。
とは言っても日経も、デジタルの売上高は、2018年度で27%ほど。これを4年後の2025年には50%にするのが目標。アジア経済圏もにらみ、急速にグローバルな「テクノロジー・メディア」化へとすすむ。
そのために日経はエンジニアを積極採用している。2019年6月時点で100人を超えるエンジニアがいて、独自のアプリなどの開発に励み、動画も取りいれるようだ。
しかも驚くことに、日経の編集局は午後10時頃になると社員は帰ってしまい、ほとんど人はいなくなるそうだ。紙中心の編集局とは断然ちがう。
電子版に合わせ記事の締め切りが早いから。多くの人がスマホを見る時間帯は、朝の時間帯、昼休み、夕方の帰宅時間。これに合わせて締め切り時間を設定しているから。
時代は大きく変わった。情報は24時間ネットで流通していて、多くの人は好きな時間に好きな情報をスマホやタブレット、パソコンで得る。新聞記事も同様だ。
日経は特ダネも、朝刊より先に、デジタルで夕方にデジタルで発信するそうだ。
他の新聞社、時代に乗れるか、乗り遅れて衰退するか? 首脳人の見識が問われていると思う。
主権者・国民の知る権利に全面的に答えるべき新聞。特にリベラル系新聞のネット化の遅れは、怠慢と言ったら言い過ぎだろうか。