新聞記者の望月衣塑子さんと 、元ニューヨークタイムスの日本支局長マーティン・ファクラーの対談本-「権力と新聞の大問題」を読んでいる。
対談本なので非常に読みやすい。その中でスノーデン事件の前触れ的な事件について書いてある。
ニューヨーク・タイムスのジェームズ・ライデンという記者が、「ブッシュ政権が組織をあげて大規模な盗聴と個人情報の監視を行っている」という大スクープをつかみ記事にしようとするが、政権と新聞社のぶつかり合い、激しい駆け引きがあったようだ。
ライゼンさんが事実をつかんでから実際に新聞に載せるまで1年が経った。
新聞社側が特ダネを握り書こうとした場合、政権側から「それを記事にすると国益を損なうから書かないでほしい」との申し入れがあった場合、新聞社側は高度な判断で掲載を見合わせることがあるようだ。
ライゼンさんに電話をかけてきたのは、当時のCIA長官のテネット氏。
「そんな記事がでたら親米の人たちが殺される危険があるから書かないで」という内容だ。
当時、タリバンに対抗していた北部同盟のマスード司令官が殺されたが、CIAは彼を支援していた。その内容を書かれると、協力者が殺される可能性があるからとの理由だ。
確かに、そんなことはあるかもしれない。
しかし「高度な判断」というのは、往々にして、情報を圧倒的に多く持っている権力側に利用される可能性が高い。極めて。
こんな場合は、メディア側の駆け引きとしては、協力者を退避させる猶予を与えて、期限付きで書くべきだと思う。