サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

「2050年のメディア」-③日経の成功

 新聞のデジタル化で試行錯誤を繰り返し、紙中心の議論も乗り越えながらも、先行し成功しているのは日経新聞だ。
 下山進著の「2050年のメディア」には、その経過が良く書かれている。先日来のつづき。
 2010年に日経電子版が創刊される。
 電子版単体で4000円。宅配プラス電子版で5000円。ネットで記事がタダで読める時代に有料で4000円、社の内外で「大丈夫か?」との疑問が出されたのは当然だろう。
 ところが2010年だけで4万7454人の契約者数になった。
 2011年には10万人を超え、2013年には25万人、2017年には50万人、2019年には72万人の有料読者を得るまでに発展した。
 もちろん紙の部数は減っているが、唯一日経だけが紙とデジタル有料合わせて部数を維持しているようだ。
 比較すると読売は、2009年に1003万部を誇ったが、2019年には200万部ちかくも後退し、812万部に。売り上げも10年間で1/4ほどに激減した。
 他の紙新聞も著しく後退している現状に照らし、日経の経営陣のデジタル化への先見性が見事といえる。
 日経の経営陣は、ネット時代の発展を予見し、世界でいち早く有料電子版に踏み切ったウォール・ストリート・ジャーナルの動きを知っていたのかもしれない。
 W・S・ジャーナルを電子版化で成功させたゴードン・クロビィッツを2007年に呼んで社内でセミナーを開き、彼から教えを乞うた。
f:id:adayasu:20210114230653j:plain:right  時代の流れをいかに感じ、先見的に対応するか? どんな企業でも団体にも、特にそこの幹部には求められる。フィンランドノキアは、携帯電話で世界の覇者となっていた時代があったが、スティーブ・ジョブスのIフォーンによって、あっという間に市場を奪われ会社存続の危機に陥った。
 会社幹部は交代を余儀なくされた。しかし経営陣が代わりノキアはそこから復活した、5Gで。
 日経の幹部は、電子有料版に進む点で、スマホの影響力を想像できたのだろう。電車では、新聞を開いてニュースを読む風景から、今や手軽で便利で動画も見れるスマホを見る風景にすっかり変わってしまった。
 他にも、日経は読売のような販売組織が多くない点で、対応が比較的やりやすかったかもしれない。また経済の専門紙そして、一般紙よりも読者を獲得できやすかったかもしれない。
 他の新聞社、大丈夫かな?