サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

大量廃棄社会④ 捨てないパン屋さん

 「もうパンを捨てないと決めた」-パン屋さんの話が面白く希望が湧く。(「大量廃棄社会」のつづきです)
 「働く時間を短くして、パンを焼く仕事が楽しくなったんですよ。いまは朝4時から昼までパンを作ったら、午後は美術館に行ったり映画を見に行ったり---」-広島市のパン屋さん・ドリアンの田村陽子さんの話です。
 そんなんでパン屋さんがやっていけるのか?
derien.jp

.
 田村さんは、創業70年の街のパン屋さん三代目。それまでのパン作りの生活は?--
 食パンから菓子パンからサンドイッチまでたくさんのパンを並べる、どこにもあるようなパン屋。
 パンの具はすべて手作り。保存料も使わない。石窯を作って天然酵母のパンも焼いた。
 人気店になり、田村さんは夜10時から翌日の夕方まで寝ずにパン作りに追われた。1日15時間も働いた。
 しかし、売っても売ってもお金は残らない--。 しかも、売れ残ったパンは捨てていた。
f:id:adayasu:20201216194237j:plain:right 保存料無添加、生の果物のパンは、翌日には出せない。1回でも食中毒を起こせばおしまいだから。
 田村さんに転機がおとずれた。お店を休業し、フランスとオーストリアのパン屋に行って修行。
 修行したウイーンのパン屋さんからは「朝8時に来て」と言われた。
 えらく遅い出勤。しかも仕事は昼には終わり、勤務時間は、たった4~5時間。でも、でもできたのは美味しいパン。売れるパン。
 「素材は入手できるベストのもの」を使うとおいしいパンができ安い価格で職人の働く時間も短い。らしい。
  ホントか?
f:id:adayasu:20201216194242j:plain:left 田村さんは、日本に帰ってから実践。働く時間は朝4時から11時までの7時間、店を開けるのは木、金、土の週3日の午後だけ。
 作っているパンはカンパーニュ。ネット販売で予約性の定期購入してもらう。
(写真-カンパーニュはウィキペディアより)
 作りすぎ、大量廃棄社会をやめれば、こんなことができる。北欧やEUには行ったことがないが、日本より物質的には質素でも質の高い生活をしていると聞く。
 大量生産、大量消費、大量廃棄の社会は、大量労働時間が伴い、生活も人生も貧困になる。
 利潤追求第一の資本主義の限界から抜け出し、無駄のない必要な生産、そのための必要な労働、そのために必要な最小限の自然を活用する、そして誰ものが幸福な社会へ、早く移行したい、しなければ。