サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

宇沢弘文−新しい経済学は可能か

始まっている未来 新しい経済学は可能か

始まっている未来 新しい経済学は可能か

 昨日のつづきで、宇沢弘文さんです。
 「社会的共通資本21世紀的課題」という論文から。
 「社会的共通資本は、一つの国ないし特定の地域が、ゆたかな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を持続的、安定的に維持する事を可能にするような自然環境や社会的装置を意味する。社会的共通資本は、たとえば私有ないしは私的管理が認められるような稀少資源から構成されていたとしても、社会全体にとって共通の財産として、社会的な基準にしたがって管理・運営される」と規定している。
知らなかのですが、こんな紹介がされています。
 「アメリカの製薬会社が開発する新薬の75%は、多くの専門家をアマゾンの熱帯雨林に居住する少数民族の部落に送って、その長老あるいはメディシンマンを訪ね、伝承的にうけつがれてきた医療のの技術を聞く。それは、アマゾンの熱帯雨林のなかに生息する動植物、微生物や、土壌、鉱物などについて、どのような症候、そのような疾病、傷害の治療にどのように使ったらよいかについてである。長老、あるいはメディシンマンの中には、一人で5000種類におよぶ治療法を知っている人もいるという。専門家は、それらのサンプルを本国に持ち帰って、ラボトラリーで化学分析をし、人工的に合成して、新薬として売り出すとのいうのである。
 ブラジル政府は、アメリカの製薬会社がアマゾンの長老たちに特許料を支払う制度を新しく作った。ところがアマゾンの長老たちはこぞって、アメリカの製薬会社から特許料を受け取る事を拒否した。自分の持っている知識が、人類の幸福のために使われることほどうれしいことはない。その喜びをお金に変えるというさもしいことはしたくないから」だという。
 この考えが、地球環境の解決に必要だ。利潤追求にひた走る強欲が地球環境破壊に拍車をかけている。人の欲望には限りがない。地球には限りがある。