サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

選択の科学④ 「マシュマロテスト」

 S・アイエンガーが「選択の科学」で、「マシュマロテスト」を紹介している。1960年代に心理学者U・ミッシェルが行ったそうだ。
 部屋の中で、4才の子どもたちにマシュマロを1個あげて、直ぐに食べたらダメだよと言い、おじさんが帰ってくるまで待てたら、もう1個上げる。しかし、それまでにどうしても食べたくなったらベルを鳴らしなさい。ベルをならしたら1個しか食べられないよ、とする実験だったそうだ。
 子どもはいい香りのするおいしそうなマシュマロを目の前にし、すぐに食べてしまおうか? それともじっと我慢して2個目ももらって得をしようか? どれぐらい待てばいいのか?わからず迷いに迷うことになる。
 結果、子どもたちは平均すると3分しか待たずにベルを鳴らしたそうだ。
 しかしその中で30%の子どもは、15分のわくいっぱいまで辛抱し、2個目のマシュマロを手にしたらしい。
 追跡調査によれば、我慢できた子は、我慢できなった子にくらべ、強い友情で結ばれ、困難な状況に対処できる力があったそうだ。成人後の追跡調査でも、自制心旺盛で喫煙率や違法薬物経験者が少なく社会的経済的地位が高かったそうだ。
 脳の回路は2つあり、ひとつは「自動システム」と呼ばれるらしい。感覚情報を処理し、すばやく、たやすく、無意識のうちに作用すし、行動するようだ。
 もうひとつは「熟慮システム」。これは未加工の感覚情報ではなく、論理や理性を働かせる回路のようだ。2つのシステムが一致しない場合に悩みが起こり、よく考えて行動するか、あまり考えないで行動するか、の違いとなるらしい。
 こどもの場合、この「熟慮システム」が十分発達していないため、その時の感情しだいで行動しやすくなるらしい。
 とは言え、オトナの私も「熟慮システム」が十分なわけではない。疲れて帰ってきて、風呂上り、ビールを前にすると途端に「熟慮」が欠けてしまう。1カン目のアルコールが「熟慮」を洗い流して、つい2カン目へと飲みすぎてしまう。
 「熟慮システム」を欠いた選挙選択や政治選択がしょっちゅう散見される今日この頃。
 コイズミ改革に期待し裏切られ、政権交代に期待しては、裏切られの八方塞がりの心情からすれば、身振り手振りの大きい、分かり易く断定的な言葉にと飛びつきやすくなるのだろう。
 衝動的にならず、過去も振り返り、熟慮を重ねる選択をするためには、どんな工夫が必要なのろうか?。また明日。

 (しかしビールはウマイ)