11/23付け「朝日」が、めずらしく日本共産党の志位委員長を登場させ、宇野重規東大教授との対話を掲載した。
目に引いたのは、志位さんが、スイスのUBS銀行の上級顧問をつとめるジョージ・マグナス氏の論文を紹介した部分。
「現在の世界危機の本質を知りたければ、カール・マルクスを読め」と、J・マグナス氏がブルームバーク(経済通信社)に寄稿した文に書いている。(赤旗記事も参照)
志位さんは、リーマンショック以降の世界経済の危機を、金融危機だけではなく、過剰生産恐慌との結合と捕らえるべき指摘。
J・マグナス氏は、資本論の「あらゆる現実の恐慌の究極の原因は、つねに大衆の貧困と制限された消費にある」を引用し、「アメリカでは、企業のコスト削減と雇用回避のための努力は、アメリカの法人利益を急上昇させ、総経済産出に占める割合は過去60年間で最高水準になった。他方で、失業率は9.1%に達し、実質賃金は停滞している」現実を対比させている。日本も似たようなものだ。
危機に対処する方向として5点提起しているが、
その第一は、「総需要および所得の伸びを維持しなければならない。中略--雇用創出を政策のリトマス試験紙にしなければならない」
第二に、「家計の債務の負担を軽くする、略--」 あと第三、四、とつづき、
第五に、「デフレと停滞におちいる危険にたいする防壁を築くために、中央銀行は、債券購入プログラムの先を展望し、むしろ名目経済産出高の成長率を目標にすべきだろう。略-」
と提案している。
日本はこれと真逆のことをやってきた。長く続くデフレを主導しているのは、働く人々の給料を下げ続けた結果だ。
派遣労働、非正規雇用の規制緩和=解雇と低賃金の自由の法律を作らせたことの産物。
収入は減らされるばかりなのに、税金は上げられるばかり。
さらに消費税の増税、年金繰り延べなど、社会保障削減、TPP推進の推進で一次産業も雇用も切り捨てる。モノが買えずますます経済を落ち込ませる。多国籍企業は他国席で、儲けさえすればいい。利潤さえあがれば国も国民も関係ない。
解決は二つに一つ。恐慌による破綻的解決か、もしくは諸国民のたたかいによる解決か、です。
正社員が当たり前の雇用制度にもどす。減らされてきた働く人の収入を増やす。削られた社会保障を充実させる。農林業が果たしている役割にふさわしい対価を与える。
こうやってこそ蓄積されている過剰な富を、それを生み出した消費者に分配できる。これで経済も上向き、企業も永続的にに活動できる。
利潤追求のみの競争を強制させられている企業家に、富の再配分の自発性は期待できない。国民のたたかいによる、企業の規制の強化=国民・消費者の権利確保への強制のみが唯一の安全かつ幸福な解説策だ。EUのように労働組合がまっとうに育ち、社会的役割を果たすことが必要だ。
さらに地球・自然への負担を軽減し、サスティナビリティへ進むことも重要。
J・マグナス氏の寄稿文の日本語訳は⇒コチラさんで (翻訳ソフトでやって見たが不正確でした)