サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

「マンクーゾ報告」と「T65D」

 内橋克人さんの「日本の原発、どこで間違えたのか」を読みました。今から25年も前の本の再刊です。
 25年前だと私も30才で、みなさんも25才若かった。その当時から原発の危険性、放射能問題などを、今にも十分つうじる内容で解明しています。
 内橋氏が、「マンクーゾ報告」―同名医学博士にインタビューして紹介している。「マンクーゾ報告」……私も聞いたような気もしたが定かではなく、まとまって知ったのは初めてです。
 報告書は、「原子力発電産業に従事する労働者は、一般労働者に較べ10倍も20倍もガンにかかりやすい」と、次のような調査結果を明らかにした。
 ハンフォード原子力施設で働いた労働者24939人を調査。うち死者が3520人、うちガン(白血病含む)による死者670人(全労働者の2.7%/全死者の19%)、ガンのよる死者の66%が放射線被爆の多い作業をしていたと発表した。
 マンクーゾ氏は、微量放射線を日常的にあびた人に、10年20年ゆっくりと、「時間をかけてやってくる死(スローデス)」と表現し、原子力産業は殺人産業といっていい」とインタビューに答えている。
 当然、マンクーゾ氏は、政府や電力会社のいっせい攻撃をうけ、「危険人物」扱いされる。
 それまで放射線の人体への影響は 「T65D」(オークリッジ国立研究所による暫定線量)をベースにしたもの通説となってきた。(広島・長崎両原爆投下時における放射線量と被爆による発病率を相関する計算から被爆の基礎データ)
 これが急性障害中心の被爆、晩発性や内部被爆を軽視する、軍事や原発に推進に有利な根拠を与えたきた。
 マンクーゾ報告(データ処理など一部問題があるにしても)とT65D―それぞれ、放射線の被害を強く見る立場と弱く見る立場の論争、今日までつづいている。それは本質的に、被害者か加害者か、その立場に由来すると、私は思っている。