サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

「希望の歴史」Humankind⑧ 刑務所

 その国がどんな社会か? を、見るにはどこを見ればいい?
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 たしか刑務所だったと思う。
 アメリカの刑務所で刑期を終えて社会に出て、再び犯罪を起こす再犯率は世界一で2年以内に刑務所にもどるのは60%に至るそうだ。ところがノルウェー全体では20%、海にかこまた島にあるバストイ刑務所は16%だそうだ。
 しかしノルウェーの刑務所は費用がかかる。有罪判決1件あたり6万円ドル以上でアメリカの2倍。
 それはそうだろう。ハルデン刑務所の受刑者は個室を持ち、そこは床暖房、テレビ、浴室、キッチンもある。図書館、音楽スタジオもありレコーディングもできる。
 看守は武器を持たず、受刑者に語りかけるのが仕事。セキュリティは厳しく、麻薬の売人、性犯罪者、殺人犯らを250人収容する。
 ここの所長-トム・エーベルハルトは「汚物のように扱えば、人は汚物になる。人間として扱えば、人間らしく振舞う」と語る。

 刑務所の費用はかかるが、社会的費用は?
 受刑者多くの受刑者だった人は社会に出て、再犯を起こさず、働き口を見つけ、税金を払ってくれる。生活保護などの政府支出もいらない。そんなことでノルウェーの法執行機関は一人当たり7万1226ドル節約できるそうだ。なるほど。そして社会の安心感は、お金には換算できない。
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 図はパノプティコン型の刑務所。
 ノルウェーの刑務所とは真逆の考え方。効率的監視で囚人の孤立化と服従を促す。囚人からは看守が見えず、囚人同士も見えず孤立感があり、たとえ看守がいいなくても絶えず監視されているという思いに至る。
 ベンサムが考えた刑務所だが、刑期を終えたあとのことまで考えただろうか?