サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

台湾有事と日本の安全保障⑤ 九条があったから‥‥?

 台湾有事と日本の安全保障のつづきです。

 第6章は、日本の安全保障を考えるです。
 「九条によって日本の平和が守られてきたVS守られてきたのではない」論がP287に書いてある。
 著者らは当然、「日米安保によって日本が安全が守られてきた」とする。
 これは前回書いた、軍事同盟の「巻き込まれ論」「見捨てられ論」から検討できる。
 過去の侵略戦争を反省する9条の立場からすれば、巻き込まれを含む戦争参加を忌避する。
 現実に言っても、朝鮮戦争には「兵站」で協力し、軍事物資特需で経済復興をしたが、直接の朝鮮戦争参戦はしなかった。これは9条の歯止めがあったからだ。ただ、朝鮮戦争反対の運動は、米占領軍から弾圧された。
 次にベトナム戦争。韓国は、米軍の要請に従って、ベトナムから攻撃もされていないのに、参戦し、多数のベトナム人を殺した。日本は、9条があったために参戦しなかったし、できなかった。ここでも戦争特需で経済は潤った。
 では「見捨てられ論」はどうか?
 日本の軍事指導者は、本音としてこれが強いと思う。
 核ミサイルを持つ軍事・経済・技術大国の中国に、正面対決するにあたっては、米国から見捨てられない事が大事だ。
 その不安を解消しようとするために、アメリカ言いなりなる。他の同盟国と違い米兵器の爆買いはするし、地位協定の見直しもせず、低空飛行訓練もやりたい放題、思いやり予算までおまけする。
 米大統領が時々発言する尖閣諸島の安保5条適用、に安心するのもその現れだ。

 NATO5条と違い、日米安保5条は日本の施政権下にあるのが前提で、一時的にでも中国の実行支配されたら5条は機能しない。
NATOの加盟国は自動参戦だが、日米安保の場合、米国の参戦は米議会の賛成が必要で、有権者が納得しないと米国は日本を守らない仕組みになっている。
 中国の前面に立って軍事対決しようとする日本、もし米国が最終国益を考え、途中でそっぽを向いたらコテンパンにやられてしまう。だから南西諸島が戦場になっても、米空母は中国ミサイルの届かないところに退避する。これは日本国民、南西諸島住民は受け入れられない。

 そして周辺国はどうか? アセアン諸国、フィリピン、そして韓国も米国の言いなりではない。
 独自の考えも持ち、独自の行動も見せる。

 軍事専門家の考える安全保障は、軍事力を強める事であり、守るべき対象は第一義的には国家となる。それは軍だし、軍指導部だし、政府関係者となる。
 軍事力の強化は、関係予算や人員を増やし、軍事産業を強める事でも利害が一致する。
 戦争をしないために、どんな努力をするのか? 問われている。