ジェレミー・リフキンの「グローバル・グリーン・ニューディール」の続きです。
気候変動を食い止めるため、経済・社会をどう転換すべきかについてリフキンは、インフラの転換を大重要課題として位置づけている。
「IOT」「シェリング」「スマートシティ」「自動運転」「分散型の再エネ」などに投資をし、2050年温室効果ガスの実質排出ゼロの社会を地球規模で実現しようという壮大なプランだ。
私たちのまわりでは想像もつかないような世界だが、実は、すでに世界はその方向に流れている。
まず先行しているEUの例を紹介する。
EUは2007年の時点で2020年までに、エネルギー効率を20%高め、温室効果ガスを20%削減(1990年比)削減し、再エネ発電を20%まで増やすよう加盟国に義務づけた。いわばグリーン・ニューディールの萌芽だ。
2009年、欧州「緑の党」はグリーン・ニューディールを党の綱領にし、詳細な計画を発表し欧州議会選挙をたたかった。
2015年シティグループは、同年のCOP21で気温上昇を2℃未満に抑えることが合意されれば、化石燃料の関連資産が100兆ドル(1万兆円ほど)の座礁資産(損失)になるとの予測を発表した。キーワードは座礁資産。
現在では、CO2削減は国家間の目標実行ウンヌンよりも(それも重要)、投資が成功するか失敗するかの問題として扱われてきている。
太陽光、風力発電などの大幅コスト減のため、再エネ発電が化石燃料よりも安くなってきているからだ。残念ながら日本では、まだそんな論議は、ほんの一部でしか行われていない。
2018年、アップルは世界各地にあるデータセンターで使用する電力を再エネでまかなうと発表し、関連の製造業者23社もアップル製品の生産を100%自然エネを行うと発表した。グーグルは2017年にデーセンターの電力を100%再エネ化した。フェイスブックは2017年、新設のデータセンターの電力を10%再エネでまかなうと発表した。マイクロソフトは2023年までに100%再エネに移行する。
世界では、1キロワット時あたり2.5円で太陽光発電を売っている。国際再エネ機関が2019年、陸上風力発電のコストが1キロワット時あた3~4円程度まで下がってきていると報告している。
太陽から地球への光エネルギーは88分ごとに、人類が1年間に使うエネルギーを与え、その0.1%とらえれば現在、人類が使っている6倍のエネルギーとなるそうだ。その他、風もあれば、地熱、波力、潮流などもある。蓄電池も下がっている。

グローバル・グリーン・ニューディール: 2028年までに化石燃料文明は崩壊、大胆な経済プランが地球上の生命を救う
- 作者:リフキン,ジェレミー
- 発売日: 2020/02/25
- メディア: 単行本