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マイケル・ムーアの「Planet of the Humans」(人間の惑星)がユーチューブで公開され話題になっている。
環境保護団体や再エネ関連の裏側について告発している内容だ。関心のある方は日本語翻訳で見る事をお勧めする。
事実関係や扱っている資料が古いなど問題もありそうだし、評判は良くない。
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私が思った事を3つ書いておきたい。
一つは、運動論から言えば、敵か味方か第3者かの識別を正確に行う事は何より重要だ。化石燃料を燃やして主要な排出源となっている産業や企業、利害関係者、そのカモフラージュ環境団体と、不十分ながらも真面目に地球環境問題に取り組んでいる勢力や運動団体とは扱いを変えるべきだろう。
その点で、マイケル・ムーアは勘違いをしているのかもしれない。映画の内容に事実誤認があったり、批判の論拠としての解決法が示されなければなさらだ。
次に、重要な事実も指摘していると思う。チャード・ブランソンという男の名前が映画に出てくる。
いま読んでいるナオミ・クラインの「気候変動VS資本主義(下巻)」に、リチャード・ブランソンという米国の富豪・ヴァージン・グループの創始者がアル・ゴアとの対談をきっかけに「環境保護」のため巨大な投資を行うと派手な宣言した。期待を集めたようだが、傘下の格安航空会社の拡大は成功したようだが、バイオジェット燃料ブームは途上国の食糧危機は招いた。そして温室効果ガス削減にはマイナスだったという事だ。
似たような話に、石炭火発批判の代替として、天然ガスブームを作りだし、シェールガス・オイルで化石燃料経済の継続が今なお止まらない要因の一つになっている。ナオミ・クラインはブランソンのほかに、ビル・ゲイツ、ブルームバーグ、投資家のウォーレン・バフェットなども、同類として名をあげている。また化石燃料企業から資金提供を受けている環境保護団体についてもいくつか指摘している。グレタさんが言うように「やってるフリ」にご注意を。偽物の科学者・メディア・運動体…カネの出どころをよく見極めろと言う事だ。
第3に、これが一番深刻だ。1973年、47年前に出た「成長の限界」。当時、話題にはなったが結果を見れば無視された。
豊かさを求め、あくなき生産と消費を求めてきた先進国。生産と消費に伴う「廃棄」には無関心でいた。これが今、出口のない問題となっている。温室効果ガス廃棄物。
世界は進歩し、人々は平等で人権が保障されるはずだ。77億の人間に、毎年、9000万人ちかく人が加わり豊かさを享受する事はできるのか? 水は?食糧は?大地は誰が与えてくれているのか? 一人当たりのエコロジカル・フットプリントはほんのわずかだ。
エネルギー消費の多い人、環境負荷の大きい人はどうすべきか? 地球システムと生態系の立場からみて。答えがでないほど、時が過ぎてしまった。