サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

グリーン・ニューディール② 気候訴訟

 明日香壽川著のグリーン・ニューディールのつづきです。
 世界各地で若者たちなどによる訴えで、気候変動裁判が行われている。
 2050年5月時点で1500以上の気候関連訴訟があり、なお増えているという。
 これは多くの政府・政治家が、化石燃料産業からの政治献金などの影響を受けているために、気候変動対策への思い切った転換がすすんでいないことが根底にある。
.
 オランダの裁判では、2015年にハーグ地方裁判所が「オランダ政府は温室効果ガス排出削減を積極的に進めなければならない。具体的には2020年までに1990年比で25%削減する必要がある」という判決を下した。
 そして2019年12月オランダ最高裁は、政府の上告を棄却した。
 判決で注目されるのは「メキシコ・カンクンでのCOP宣言に同意した国は、2℃目標にコミットしているのだから、公平性に基づいた排出削減に関する行動をとる必要がある」と2℃目標を明確に位置付けた。
 オランダ政府の弁護人は、「オランダの排出量は世界の0.5%に過ぎない」と主張した。
 これに対し判決は、「各国は、共同および単独での排出の責任がある」として、この主張を却下し、「他の国に比べて排出量の多寡は、予防原則のもとに各国が持つ削減義務や責任には関係しない」とし、「一人当たりの排出量の大きさや先進国であることを鑑みれば、オランダはより積極的な削減をする必要がある」と明記した。
.
 ドイツ連邦憲法裁判所は、ドイツの気候変動法の一部を違憲とする判決を下した。
 2030年以降の温室効果ガス削減に関する内容が十分でないとして、「未来世代の基本権侵害」と判断した。訴えていたドイツのFFFやNGOメンバーは予想以上の判決に喜んだ。
f:id:adayasu:20210710204832j:plain:left:w370 .
 残念ながら、日本では仙台の石炭火発差し止め訴訟などで敗訴している。
 日本では、政治の遅れ、司法の遅れが甚だしい。同時に根本的には、社会運動、市民運動を広げ世論が高まらないと「社会通念上」が、温暖化が実質的に容認ということになるのだろう。
 日本でも運動を広げ、横須賀訴訟などで、なんとか世界に恥ずかしくない判決を勝ち取りたい。

yokosukaclimatecase.jp
www.jcp.or.jp