「未来への分岐」の続きです。
面倒くさいところは、飛ばしながら読んだ。
ポールメイソンという経済学者と斎藤幸平教授の対談の中の一つに、第5章 資本主義では環境危機を乗り越えられない、という項目あり、私に関心にピタリ。
ただ、マルクス主義者としての思いからか、利潤追求の資本主義では地球環境の危機は克服できないので社会主義でなければならないとの考えがにじみ出ているように思われる。
斎藤氏は、環境思想によるマルクス主義の批判を、「生産力を発展させて人間中心の自由を実現する理念を肯定すれば、自然の限界を否定して、人間が自然を支配する思想に転化しかねない」と紹介している。私も同感だった。
マルクスの社会主義への移行について、「生産手段の社会化(社会的所有)」で、生産力が飛躍できる(公平な分配、労総時間の短縮の実現)とあるからだ。
今、マルクス主義者が考えるべきは、マルクスが生きているとしたら、今の世界について、どんな研究をし、どんな解決策、提案をするだろうか?と言う事だろう。そんな理論発展を望みたい。
この点で私は、人類が直面している温暖化危機の原因は、生産とともに、廃棄(CO2など)こそ重大になってきていて、生産・流通・消費・廃棄に至る全過程の変更が必要であること。そして依存している地球システムと生態系に、負荷をかけない範囲に人類の全活動を制限する社会へ急速に移行しないと破局は免れないと考えていて…。
その時間は10年~30年ほどの猶予しかないと。
なので危機を回避できるなら、間に合うのであれば、資本主義的な在り方だろうと、社会主義的なやり方だろうと構わない、それほど事態は切迫していると考えている。
斎藤氏は「気候変動が突き付けているのは、これまでの資本主義のもとでの大量生産・大量消費といったあり方を反省し、利潤だけを追い求めるのではない社会を実現する必要性です」「途上国、新興国で、人々がより大きな困難に直面しているわけですから、これまでの帝国主義を乗り越えて、気候正義を実現しなくてはなりません」と主張する。そのとおりと思う。
そして打開策としてアメリカで議論されている「グリーンニューディール」が期待されているる。しかしこれも資本主義化の利潤追求型、新自由主義型の「グリーンニューディール」にならないためには、社会運動との接合が重要を説いている。これもその通りだと思う。
下からの社会主義的な資本主義の強力な規制で危機を緊急に回避するしかないと考える。