サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

大本営海軍部発表の“大戦果”―責任?

  アンと花子」から、大本営発表を考えました。
「ラジオの前にお集まり下さい…」     −その元の情報…
.
1944年10月 台湾沖航空戦の大戦果

 黒板の前に坐った司令官らしい将官を中心に、数人の幕僚たちに戦果を報告していた。
○○機、空母アリゾナ型撃沈!」
  「よーし、ご苦労だった!」      戦果が直ちに黒板に書かれる。

○○機、エンタープライズ轟沈!」
  「やった!よし、ご苦労!」       また黒板に書き込まれる。
その間に入電がある。別の将校が紙片を読む・
「やった、やった、戦艦二撃沈、巡洋艦一轟沈」
 わっという歓声が湧き上がる− 
 ―そして―
大本営海軍部
 14日17時発表
 我が航空部隊は引き続き台湾東方海面の敵機動部隊を猛攻中にして、現在までに判明せる戦果。(既に発表せるものを含む)左の如し。
  轟撃沈 航空母艦三、艦種不詳三、駆逐艦
  撃 沈 航空母艦一、艦種不詳一

 15日10時発表
 台湾沖東方海面の敵機動部隊は、昨14日夜東方に向け敗走中にして、わが部隊はこの敵に対し反復猛攻を加え、戦果拡充中ない。現在までに判明せる戦果(既に発表せるものを含む)左の如し。
  轟撃沈 航空母艦七、駆逐艦   既発表の艦種不詳三は航空母艦なること判明せり。
  撃 沈 航空母艦一、戦艦一、巡洋艦一、艦種不詳十一
 16日15時発表
 台湾沖航空戦の累計次の如し。
  轟撃沈 空母十、戦艦二、巡洋艦三、駆逐艦
  撃 破 空母三、戦艦一、巡洋艦四、艦種不詳十一

 16日16時30分発表
 敵機動部隊の一群は、徘徊中の味方部隊収容のため別動して、10月15日午前比島マニラを空襲せり。同方面のわが航空部隊はこの敵を激撃、比島東方海面において反復攻撃し左の戦果を得たり。
 撃 沈 航空母艦
 撃 破 航空母艦三、戦艦若しくは巡洋艦

 と発表され、沸いた。日本中に報道され国民も信じた。
 こんな打電も米軍は傍受していただろうに、笑われていただろう。
 誰に責任があるのか? 責任はとったのだろうか? 今日に生かされているのだろうか?
(「大本営参謀の情報戦記」より)