サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

決定できる民主主義−橋下徹

  朝日新聞の12日付けに、橋下大阪市長へのインタビューがのりました。さすがに記者もポイントをついた質問でした(少しヨイショ)。
  アジア諸国との競争に勝つ」の見出し。
 橋下氏は、「今の日本人の生活レベルは世界でみたら、五つ星級の贅沢なもの」と言い、アジアの国々が追いついてきたので、今のレベルを維持するなら「競争で勝たないと無理です」と主張する。これは勝ち組に所属する人間の感覚と思う。底辺の人々のくらしは念頭にない。
 おそらく都構想・関西州なるものも、アジア諸国との競争のためのインフラ整備や技術集積を、地域の抵抗を抑えてやりやすくするための行政システムをつくることだろう。
 アジア諸国の国民も豊かになるために努力している。日本人も年間の自殺者3万人以上を十数年つづけながら、サービス残業をし、家族と夕食もとらないで働きつづけている。
 経済大国で豊かなハズなのに、人間生活としては、幸福感がなく実に貧しくなっている。
 競争は、アジア諸国の国民と、日本国民の間にあるのではない。資本の利潤追求のため、両国の国民が低賃金・長時間労働の競争をさせられている。多くは日本の多国籍企業が国内とアジア諸国で分業して稼いでいる。
 同じ事はアメリカやEUにもいえることで、多国籍企業を中心とする1%の経営者・富裕層と各国の99%の間のたたかいである。
 労働力商品の正当で公平な取引を求め、買い叩きをやめさせる99%側が、道理をとおせるかどうかだ。そのために本来の実際の対立点を示すことが必要だ。
  「選んだ人間に決定権を与える。それが選挙。ある種の白紙委任(見出し)
 橋下氏は言う。「すべてをマニフェストに掲げて有権者に提起するのは無理です。選挙では国民に大きな方向性を示して訴える。ある種の白紙委任なんですよ」と。
 確かに、大きな方向性、なんとはなし「改革イメージ」で自らは選ばれ、選ばれたら、弱者の切捨ての実行は、小まめで情け容赦ナシ。
 選挙で選ばれたからと言って、何でもかんでもやれると思ったら大間違いだし、人権など憲法の諸原則までやぶるのは許されない。民主主義に、「ある種」白紙委任はない。民主主義に期待されているのは、単なる決定ではなく、民衆のためになる政治である。
 橋下劇場に「水戸黄門」を見出すのはやめよう。