サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

自由からの逃走

 エーリッヒ・フロムの「自由からの逃走」を読みました。私には難しかった。なんとなくわかりましたが、内容はいろいろ参考にして、だいたいこんな感じでしょうか。↓↓↓
 近代の人は中世の封建的な束縛から解放されて自由を獲得した。しかし自由になったけれども孤独感や無力感にさらされることにもなった。その孤立や無力感に耐えきれずに「自由からの逃走」し、権威主義的にひかれるようになった。
 ファシズムを信じた人たちは、ヒトラーという権威に、自分から喜んで従属するようになった。そして上の支配者に従属する一方で、下のほうに、自分より劣ったとされた、ユダヤ人や障害者などを差別して虐待し、自らの劣等感を解消した。

 ユダヤ人のフロムは、ドイツでナチスの迫害を受けてアメリカに亡命し、1941年に、この本を書いている。ところどころにマルクス主義の立場が見られる。
 私が問題意識を持っている、小泉元首相や石原都知事、橋下市長ような、自分を不利益に追い込む権力者・権威者をすすんで選ぶ現象は、ナチス時代に向かう初期のドイツに似ていると感じます。
 当時のドイツで、ヒットラーをはじめナチスの関係者がプロパガンダ技術も開発・駆使して猛威をふるったのご存知のとおりです。
  フロムも本で紹介しているヒットラーは、こんなことも言っている。
 「大衆が欲するのは強者の勝利と弱者の殲滅あるいは無条件降伏である」
「弱い男を支配するよりは強い男に服従しようとする女のように、大衆は嘆願者よりも支配者を愛し、自由を与えられるよりも、どのような敵対者も容赦しない教義のほうに、内心でははるかに満足を感じている。大衆はしばしば途方にくれ、たやすく自分たちはみすてられたものと感じる。大衆はまちがった原理をわからないので、かれらは自分たちに対する精神的テロの厚顔無恥も、自分たちの人間的自由の悪辣な削減も理解することがない」
 また、教育の目的について、橋下市長と似たような事を言っている。
「全教育と発達は、他人にたいして絶対的に優越しているという確信をあたえるように導かれるべきである」
 
 そして宣伝大臣だったゲッペルスは次のように。
「もしあなたが十分に大きな嘘を頻繁に繰り返せば、人々は最後にはその嘘を信じるだろう。嘘によって生じる政治的、経済的、軍事的な結果から人々を保護する国家を維持している限り、あなたは嘘を使える。よって、国家のために全ての力を反対意見の抑圧に用いることは極めて重要だ。真実は嘘の不倶戴天の敵であり、したがって、真実は国家の最大の敵だ」
 最近の日本において、敵か味方かの二者択一、単純化された言葉が受け入れやすいもう一つの背景に、私はメディアが伝える情報の問題があると思う。
 消費税増税やTPP推進、公務員バッシングなどがその端的な例。ちょっと前までは「小さな政府」「官から民へ」「自己責任」など、メディアがスポンサー・官僚・政治家の広告料によって繰り返し広め、誤った情報を国民に浸透させた背景がある。
 主要テレビと新聞は、ニュースで解説でワイドショーで、茶化した政治番組で、毎日毎日、わかりやすく繰り返し繰り返し、実質的に間違った、一方的な情報を流し、真実でないイメージを作り出している。
 一方で、正当な判断のためには、知るべき事実を隠したり矮小化して流す。日本が世界で一番の金持ちの国であることや、金持ち・大企業減税、非正規雇用などで、内部留保などとして、富が1%に偏在している事が知らされれば、単純な判断はしないと思う。
 メディアが国民の知る権利に応える責任とは逆に、権力者と財界に意のままにコントロールされ国民をミスリードする、民主主義の根本問題がここにある。
 権力とカネが力を発揮するのはある種当然のこと。これにいかに対抗するのか? 民主主義実現への国民の最優先の課題だ。なおさら、現代マルクス主義者にとっては、革命論の中心課題と思う。 
 昨年、アラブの国々で、それは実行された。