サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

サピエンス全史④ 先住民の精霊へのメッセージ

f:id:adayasu:20170322202336j:plain:w170:left.
 ずっと棚ざらしで、
読み途中だった
サピエンス全史(下)を読み始めました。
また紹介していきます。
.
 科学革命―科学と帝国の融合の章から。

 1969年7月20日に人類は初めて月に到達した。月探検までの数カ月、アポロ11号の飛行士たちはアメリカ西部にある月の環境に似た砂漠で訓練を受けた。その地域は昔から先住民の居住地で、宇宙飛行士たちとのおもしろいエピソードが生まれた。
 ある日の訓練中、宇宙飛行士たちはアメリカ先住民の老人と出会った。老人は彼らに、ここで何をしているのかと尋ねた。宇宙飛行士たちは、近く月探査の旅に出る探検隊だと答えた。それを聞いた老人はしばらく黙りこみ、それから宇宙飛行士に向かって、お願いがあるのだが、と切り出した。
「何でしょう?」と彼らは尋ねた。
「うん、私らの部族の者は月には精霊が棲むと信じている。私からの大切なメッセージを伝えてもらえないだろうか」と老人は言った。
「どんなメッセージですか?」
老人は部族の言葉で何かを言い、宇宙飛行士たちが正確に暗記するまで、何度も繰り返させた。
「どういう意味があるのですか?」
「ああ、それは言えないな。私たちの部族と月の精霊だけが知ることを許された秘密だから」
宇宙飛行士たちは基地に戻ると、その部族の言葉を話せる人を探しに探して、ついに見つけ出し、その秘密のメッセージを訳すように頼んだ。暗記していた言葉を復唱すると、訳を頼まれた者は腹を抱えて笑い出した。
 彼によれば、宇宙飛行士たちが間違えないように苦心して暗記した一節の意味は次のようなものだった。
「この者たちの言うことは一言も信じてはいけません。あなた方の土地を盗むためにやって来たのです」
.

 なるほど。
 科学と帝国を融合させた西欧文明は、古くはアメリカ大陸、オーストラリア大陸を「発見」したと世界に振りまき、先住民への残虐のくり広げてきた。
 現在においても、科学・帝国は新しい領域を求めて蠢いている。しかしもう、地球の限界にぶち当たっている。環境弱者から始まる残虐もすぐに世界中に広がり自滅するだろう。