サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

子連れ議会−考

 23日「朝日」オピニオン&フォーラムに、緒方夕佳熊本市議のインタビューが載っていました。
 「子連れ議会」―この問題は、いろいろ議論がされている事であり、私としては慎重に考える事にし、多方面の意見に接してきました。
 さまざまに対立的な議論がありますが、議論の混同があるため、なによりも論点を整理し、事実経過をしっかりとらえる事が大事と考えています。
 「朝日」のインタビュー記事でいえば、私は書いてある事の大半に賛成です。
 女性の社会進出、子育てしながら働きやすい社会、女性議員を増やす事に賛成です。
 議員が、子育て中だろうと、介護すべき人を抱えていようと、障がい者であろうと、可能な限り、議会活動がしやすいように改善する事も大いに賛成です。
 そんなことを国会から町村議会まで議論し、改善していくことに大賛成です。やっている議員は、実際にやっているとも思います。
 その上で、論点として、
 ①議員が子どもを連れて議会に出席する事の是非です。
 私は、忙しくない緩やかな社会を望んでおり、議会であっても、乳児を連れて行くこと事が議会の目的を妨げないと、当事者の議会全体が了解するならいいと思います。しかし、たとえ居眠り議員、ヤジ議員がいたとしても、議員と執行部にとって議会は、市民から市政を委託され、税金の集め方、使い方などを決める真剣勝負の場です。緒方議員は、子どもを保育所にあずけることは可能だと思いますので、今回の行動は、乳児連れ子育て観と議会・議員観の総合的判断なのでしょう。
 私は一般に、将来、場合によっては子連れで働ける職場ができる事、ゆったりとした社会になることが望ましいと考えます。
 しかし将来においても、それができる職種・職場もあれば、全くできない職種・職場もあると思います。その了解は、その小社会の全体の合意にかかっていると思います。だれもが、その小社会で、他の人に迷惑をかけたり、その場に集中したい権利を奪う事はできないからです。
 まず、緒方議員が子連れ参加の了解を得るために、議会側に文書などでどのように行ったのか事実経過をよく知り判断すべきと思います。
 報道では、議会事務局への取材報道がほとんどなく、大半が緒方議員のインタビューで占められて、正確な経緯は知らせていないと思います。私は、妻が議会事務局に行って事の経緯を聞いてきたメモを見て判断しています。
 緒方議員が求めてきた議会の改善は、子連れを報道で話題にしなくても、当事者である議会内の話し合いとして、実際に改善されました。
 子育て感は、それぞれの親の自由です。しかし子どもにとって最善かどうかは、また別問題でしょう。一般質問がつづく、午前中、午後などの長い時間、母親と一緒の子どもとはいえ、議論中の議会に連れられることが心地よい場所・時間帯なのか?疑問です。保育士から聞いても同様の考えでした。
 今議会に緒方議員は、開会日と閉会日にしか出席していませんが、一般質問であれば、午前中2時間、休憩なして行われる場合もあります。緒方議員が子どもを抱いて長時間、一般質問をする姿を想像してみたいと思います。
 ベビーシッター代をいわば税金で支出すべきとの緒方議員の主張にも賛同できません。議員の歳費(給料)はいくらなのか、費用弁償はいくらなのか、政務活動費はいくらなのか?一般の人はあまり知らないと思いますが、調べてみて下さい。かなりの高額です。
(熊本市議会議員の議員報酬、期末手当及び費用弁償に関する条例)
 その立場で緒方議員は、市民が議員にベビーシッター代を支出する根拠を納得する形で示す必要があります。
②働く女性・男性、子育ての問題をどう改善するか
 緒方議員も、女性参加、働き方、子育てなど改善する立場にあると思いますので課題としては、私たちも一致しています。
 しかし緒方議員が子どもを議会に連れ話題にするずっと前から、国会、地方議会などで、これらの問題を取り上げ議論し、前進させようと努力している議員はたくさんいます。
 また働く女性の運動、子育て保育の運動など、早くから議員と連携しながら運動を進めている人もたくさんいます。そのことをよく知るべきと思います。
 しかし今の政治下の国政・地方政治のなかで、それらがなかなか思うように実現せず苦労しているのが現状です。メディアもその点は毎議会をみて一応わかっていると思います。しかし報道は、あまりされていないと思います。 
 もし働く女性が了解もなしに、子どもを連れて職場に行ったら、どうなるか?
 どうなったとしても、取材もしなければ報道もしません。しかし、やむを得ない状況でなくても議員が子どもを議場に連れていったら報道される、この事も多方面から考える必要があります。
 「保育園落ちた…」を書いた人の切迫感は伝わってきます。仕事しなければ生活できない共働き世帯で、育休も取れずに0歳児を保育園に預けながら、四苦八苦している夫婦もいます。朝から子どもを自転車に後ろに乗せ、背中におんぶして保育園に急ぐお母さんの姿を良く見かけます。保育士からは、母親から残業で子どものお迎えが遅れるとの連絡があり、バタバタ駆けつける事も良くあると聞きました。シングルで働きながら、苦労して子どもを育てている人もいるでしょう。誰もが何とかしてほしい、しかし、そうならないおかしな事態をどれだけ報道されているのか?
 そんな苦労をしている市民の子育て世代の問題を、何より優先して解決するのが政治・議員の役目だと思います。その為に、すでに頑張っている先輩議員、思いを持っている人、運動している人たちと協力して解決に望むのが、本当に政治と社会を変えるあり方ではないかと思います。
 いずれにしても、子育て中の女性だろうと男性だろうと若者だろうと、誰もが働きやすい社会にする思いについては、緒方議員とその賛同者も、同じような立場だと考えます。その点では、協力・共同を大いに広げられれば、と思います。
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 以下は、日本共産党熊本市議団の市議会議長への申し入れ文です。報道には出ていない実つ経過が書いてあり、参考にしていただければと思います。
 なお、このブログでこの議論をするつもりはありません。私個人の考えを記しただけですので、コメントはご遠慮願いたいと思います。



 ついでに妻のメモも記載します。参考に。
  議会事務局の方のお話   2017.12.11安達純子 メモ

 2017.12.11に、熊本市議会事務局に行き、赤ちゃん連れて議会に出席された問題について、話を聞いてきました。事務局の方の話は以下のような内容でした。
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 緒方さんは、市会議員選挙に出られた時から、「子育てしながら働く女性の問題」を取り上げている方でした。当選後、当時、一歳半の子どもさんの話も出ていました。他にも、いろいろと事務局に来て話をしておられましたが、事務局としては、「相談」との受け止めはしておらず、「立ち寄って話をする」という感じで受け止めていました。
 当選後、委員会の視察が行われたのですが、その時は「一歳半の子どもを連れて行きたい」と正式に要請がありました。事務局としては、「議会事務局には決定権が無いので、委員会の視察だから委員長に相談して下さい」と伝え、委員長と話し合いがもたれ、子連れが了解され二泊三日の視察に子どもを連れて参加されました。
議会の問題は、議会事務局に決定権はありません。議会の運営にあたって、スムーズに進むよう調整するところです。決定権は議員さんにあり、話し合いによって決まります。
報道によると、緒方さんは「何度も相談したが、前向きな回答が無かった」と言っておられるが、事務局としては、「立ち寄って話をする」と受け止めていました。そのことも正式に訴えた回数と緒方さんは考えていらっしゃるのではないかと思います。
また、緒方さんは2016年11月、局長、次長、課長に妊娠の件を伝え、①保育所設置、②子どもを連れて行きたい、と申し込みをした、といっておられます。3人とも記憶に無い、と言っています。ただ、2017年1月、局長に相談があり、上記の2点を話されています。この日の事は局長もはっきり覚えている、と言っておられました。
 12月議会始まる前日の2017年11月21日、緒方さんから事務局に電話で、①議会に連れて行きたい。②ベビーシッター代を出して下さい。と、要望がありました。
事務局としては、①については、緒方議員には議員控室もあり、「OK」と返事。しかし、緒方議員は当日、議場にお子さんを連れて来られました。②については、「今はむつかしい」とお返事させてもらいました。
 事務局としては、正式な申し入れは2017年1月の1回と認識しています。また事務局には、この件の決定権はありません。決定権は議員さんが持っています。この点についても、マスコミの方にも伝えたのですが、全く取り合ってくれません。
緒方議員も「子連れて視察」の時の件で、事務局の承認でなく、決定権は議会にある、と言うことはハッキリわかっていられると思います。

 議会事務局からの話は、以上のような内容でした。