サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

明日、一票の格差 最高裁判決

  明日、最高裁一票の格差訴訟の判決が下されます。どんな判断をするのか、とても関心があります。
 今日の「朝日」の「耕論」で、最高裁元判事の滝井繁男弁護士と憲法学者の木村草太さんの見解が載っています。興味深かったので紹介します。
 昨年の衆院選は、一票の格差を是正せずに行ったので「憲法違反」かどうか? また、その下で行われた衆院選挙は無効か?有効か?、違憲で選挙は有効の場合は、「事情判決」となり、その論旨が問われます。
 最高裁判事の滝井さんは、私が最高裁判事だったら「選挙無効」の意見を述べると言っています。
 2011年の最高裁判決は「1人別枠方式は違憲状態」と指摘したが、(国会は)「0増5減」法案を成立させただけで、従来の区割りのまま総選挙が行われたことについて、1人別枠方式はそのままでも、「0増5減」で格差を2倍より小さくする努力をすれば、最高裁は無効とまでは言わないだろうと最高裁が国会にコケにされているように思うと言っています。
 ただ、滝井さんも2001年の参院選の訴訟の最高裁判事だった時は、事情判決の意見を述べたと語り、「公の利益の著しい障害」についての考えが不十分だったと告白する。確かに事情判決の繰り返しは、逆に公の利益を損なっているし、有権者の利益も損ねているとわたしも思う。
 憲法学者の木村さんも、仮に違憲とするなら、「事情判決の法理」を用い、選挙自体は「有効」とするのは避けるべきです、と主張します。
 「事情判決」の例えとして「行政が駅前に開発の計画を立てた。地権者の換地処分は終わり、ビルも建ったが、その時になって反対派が起こしていた裁判で裁判所が開発を違法と断じた。しかし、完成したビルを壊すのは難しい。だから違法だけど取り消しはしない」といったケースとして木村さんは紹介している。
 しかし、民主主義の根幹の選挙において、1人の選挙権が他の半分とか1/3とかしかないことが許され続けていいのか?事情判決を繰り返していて何のための裁判、司法か?と私も思う。
 そして木村さんは事情判決を、立法府にも良くないメッセージをおくるとして、「司法は選挙を無効にできない」と国会が高をくくって当然と指摘する。わたしもそう思う。
 ただし、国会というよりも、政権党だろう。野党は定数是正に賛成の立場が多かったし、長く政権党であった自民党一票の格差を是正しないことで、議席獲得の利益を得てきたことは自明だ。
 アメリカでは司法判断がされた事に、議会側がキチンと従っており、1票の価値の平等は限りなく等しい方へ努力され実現されている。
 国会の怠慢、というより、政権党が権力基盤の強化に権力行使をしている事に、最高裁は、明確な審判を下してほしい。でなければ、繰り返す。これまで繰り返してきたように。