サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

TPP亡国論-中野剛志

 「TPP亡国論」-中野剛志著を読みました。中野氏、元々動画を見てなかなか面白いと思っていました。文章が非常にわかりやすい。
   保守論壇の見識 
 保守論壇の人と思うが、少なからず反グローバリズムの立場で論を展開しており、中野氏もその1人と思う。原発は推進の立場だが、日本の独立にかかわる点では保守としての見識を示している。
 同じ経産省官僚出身ながら、新自由主義でTPP推進、しかし原発反対の発送電分離論者で最近テレビにもよくでる古賀茂明とは対極の人…。
   思考停止ブレーカーが落ちる
 「一番怖いのは、農業関係者を除く政治家、財界人、有識者あるいはマス・メディアが、ほぼすべてTPP参加しているにもかかわらず、その根拠があまりにも弱く論理が乱れている」と中野氏は主張。
 そして「あるコードを聞くと日本人の思考停止ブレーカーが落ちてしまう」とし、「開国/鎖国」「自由貿易」「農業保護」「日本は遅れている。バスに乗り遅れるな」「アジアの成長」「アメリカ」などの言葉をあげている。なるほど。
 交渉参加国のGDPは米国67%、日本24%で計9割以上。つまり実質的にFTA(日米自由貿易協定)と指摘している。
   戦略物資と価格支配力
 中野氏は、戦略物資の重要性を指摘する。貿易上、商品の価格は、需要と供給のバランス、買い手の方が強いのか?、売り手の方が強いのか?で決まる。石油など戦略物資が特に、戦争や災害時に売り手側に圧倒的に優位になる。
 そして戦略物資の最大のものは食料だろう。食べ物がなければその国は飢えてしまうので、どんなに高くても食料を買うことになる。
 今でも日本の食料自給率は39%なのに、TPPに参加すれば14%に激減する。そのあと国際紛争が激化したり、温暖化で旱魃、洪水で不作だった場合、価格決定権は輸出国に圧倒的に有利になる。当然、輸出国は自国民の食料を優先する。
  穀物自給率27%⇒ TPPでコメ壊滅したら自給率は?%
 外国の農産物が安く大量に入ってきて、最初は消費者も喜ぶにしても、日本の農業が壊滅したあと、田畑も荒れ農業者も少なくなったあと、輸出国がいくら値段を吊り上げようと頭を下げて買わざるをえなくなる。
    食べ物を作ってもらっている人は誰なのか?
 異常事態の時に日本国民は、肉も卵もパンも牛乳も不足したら、ぜいたく品としてガマンはできるだろう。国内にコメさえあれば…。
 野菜と魚は1年中とれる。しかしもし、コメがなかったらどうなるか?主食の穀物がない世界、時々想像する事も必要です。家族を食べさせられない事を。なければ飢えるしかない。
 特に都市部の消費者は想像した方がいいと思う。食べ物を作ってもらっている人は誰なのか?と…。
 地産地消の近隣の人なのか?、少なくとも国内の人か? 遠いよその国の人か?
 まさに中野氏がタイトルとした「TPP亡国」である。