サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

「戦争と農業」③ 食品ロス

「戦争と農業」藤原辰史著(インターナショナル新著)のつづきです。
 飢えと言えば、日本兵が味わった飢餓は悲惨そのものだった。
 シベリア抑留、極寒の地での飢え。
 東南アジアの密林の中での飢え。
 兵站を無視し、現地住民から食料を奪う現地調達。
 ジャングルに逃げ込まざるを得なかった兵士たちは、虫やカエルやヘビを食い、泥水の飲んで飢えをしのんだ。
 それでも口にするものがなくなると人肉もあさらざるを得なかった。
 日本軍の死者の半数は、弾に当たって死んだのではなく、飢えが原因で死んでいった。
 そお責任は、戦争責任として国民から処罰されるべきだが、犯罪は放置されている。

 時代は変わってしまった。
 今日、食品廃棄が3割に達する。
 著者は、2012年の京都市のごみ袋の開封調査を紹介しているが、3割は賞味期限前だったそうだ。
 農水省によると、家庭と事業系合わせ1676万トンが食品廃棄物。
 うち632万トンが、まだ食べられる食品ロスだという。
 これは2015年、国連食糧計画が飢餓に苦しむ人たちに支援した食料320万トンの2倍にあたる。

 著者はパン屋で働く学生のリポートを紹介している。
 「彼女は、売れ残ったパンを毎日ゴミ袋に入れて、それをさらにポリバケツに入れてふたを閉めていました。閉めないと路上生活者がやってきて、パンを持っていってしまうからです。店主は、店の美化と評判を気にして、路上生活者がやってこないようにポリバケツでシャットアウトしていたわけです。パン屋は、店の選択しを増やすために、何種類ものパンを焼くことが多いので廃棄率が高くなりがち」
「学生も、買い手がつかないまま捨てられてゆく大量のパンに胸を痛めていました。ある日、彼女は、ポリバケツの前で路上生活者とばったり会いました。気まずい空気が流れ、彼はそのまま去っていきまいした。彼女は考えて、ごみ袋を毎回ゆるくしばり、一定の時間にポリバケツの上に置いて、すぐに店に戻ることにしました。すると、毎回、すぐにパンの入ったゴミ袋がなくなるようになったそうです」

 最近、フードバンクとして食糧費を配布している運動もある。
 子ども食堂として、子どもたちに食事を提供している人たちもいる。
 大事な役割を果たし、とても立派なことだ。

 だが、社会としては、おそまつ極まりない。
 大量の食糧を廃棄しながら、子どもたちや路上生活者が腹を空かせる事態は、国家、自治体、社会として恥じだろう。
 仕組みとして狂っているとしか言いようがない。商品経済、大量生産の資本主義ならではの事だ。