サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

「世界滅亡マシン」⑧ 航空機の偶然

「世界滅亡マシン」(岩波:ダニエル・エルズバーク著)のつづきです。
 潜水艦の偶然のは、偶然も偶然だったが、次は航空機の偶然だった。
 その日の午前中、国防長官のマクラマナが統合作戦本部と作戦室にいたとき、戦略空軍のU-2偵察機ソ連領空に迷い込んだとの報告が入ってきた。
 ソ連の核実験をつかむための待機試料採取機で航路を逸脱してしまった。
 パイロットは、オーロラに惑わされてソ連領内に入ったしまった。
 燃料が尽きそうで旋回して滑空したが、ソ連のミグ戦闘機が追尾して迎撃、撃墜しょうとしていることに気づかなかった。
 U-2を守るために、米軍はアラスカの戦F102A闘機をスクランブル発進させたがミグと遭遇せず、U-2は無事、米軍基地にたどりついた。(オーロラ:ウィキより)

 ソ連フルシチョフは、翌10/28日にケネディに送ったミサイル解体に同意するメッセージの中で、領空侵犯の米軍機は「核攻撃」と誤解されて「何の不思議も」なく「ソ連の致命的な一歩を踏み出させた可能性があった」と懸念を表明した。
 最前線は互いに強度の一触即発の緊張関係にありながら、どちらかと言えば劣勢側のソ連の抑制からか、ボタンを押さない偶然にたどりつけた。
 また、米ケネディ側、ソ連フルシチョフ側の双方とも、全面核戦争と人類滅亡のチキンレースを取りやめることができて、「偶然の神様」に感謝しなければならない。一般市民は、そんなことは知る由もない。

 だが今日、相変わらず核兵器は前線配備状態にあり、誰かが正式命令か?、誤認か? 機械の故障か? その他の未知のトラブルか? 起こる時には起こるだろう。核がある限り。
 愚か話は、経済的負担にも言える。
 核保有国は、膨大なカネと環境破壊をしながら、1回も使っていない機械を造り続けている。
 車も家も食事も洋服も、使うために作る。なのに核兵器は、互いに脅しのためだけに作りつづけ、使われない。
 難しい高度な技術を使いこなす人間が、作っても使わない、使えない核兵器を造り続け、脅しに使う愚かさとはなにか?
 これは指導者の問題ではない、主権者にこそ問われている家族を守る単純な問いだ。