「世界滅亡マシン」(岩波:ダニエル・エルズバーク著)のつづきです。
偶然にも、この潜水艦の魚雷発射には、3人目の同意が必要だった。
乗船していた戦隊参謀長のワシリー・アルヒポフは、艦長につぐ階級の地位にあり、発射に同意しなかった。
理由は、通信できない問題もあって、モスクワの許可が得られていない事だった。
もしアルヒポフが、他の潜水艦に配属されていたら、サヴィツキー艦長とマスレニコフ政治将校の同意で核魚雷が発射されていたはずだった。(写真ウィキ:アルヒポフ)
そうなれば数分後、米空母USSランドルフと護衛の駆逐艦数隻などは核爆発で破壊され、乗組員は放射能で亡くなっていただろう。
米側は、ソ連潜水艦が核弾頭を搭載しているとは考えていなかったので、この爆発はキューバからの中距離ミサイルの核爆発と考えられただろうと。
このころは、まだ「核の冬」が起きるという科学者の指摘はなかった。
爆発と放射能障がいの被害のみと思われていた時代だ。
もし、アルヒポフが核魚雷発射に反対せず、米ソの核戦争が起こっていたらどうなっていたか。
膨大な火災による粉塵によって太陽光はさえぎられ、光合成ができない植物は枯れはて、動物も死に絶え、食料危機が何年もつづきき、南半球の人々も含め人類絶滅の危機に瀕したに違いない。
偶然とは、ありがたいものだ。
この80年間、何回ものありがたい偶然に救われた人類。
今なお、偶然に頼ろうとする軍事・政治指導者。
そのうち悪い偶然にも、出会うことになる。
核兵器がなければ、そんな偶然も起こらない。
話しは違うが、いま進んでいる温室効果ガス排出による気候危機、これは偶然による危機回避はない。
毎日、毎日の大量生産・消費・廃棄によって、日々、自分たち、子どもや孫たちの首を絞めていることになる。
COP30がブラジルで開催されており、運動の努力が行われているが、全体として主要国、その国民は、首を絞める手を緩めていない。なんたることか。