ヤニス・バルファキス(アテネ大教授・ギリシャ元財務大臣)の「テクノ封建制」(集英社)を同僚から借りて読んでいる。
難しい経済の話を「父の問い」に答えるような形式でわかりやすく書いている。
今日、資本主義は、「新しい封建制」に移行しているという話を提起。
GAFAMなど巨大テクノロジー企業がプラットフォームの独占によって、富をますます強欲に集中させ、資本主義を変容させたという。
「クラウド資本主義」
解説者の斎藤幸平は、「バルファキスによれば、資本主義の特徴が市場における商品の生産活動を通じた利潤の獲得競争だとすれば、封建制の特徴はレント(地代)である。資本主義では資本家が生産手段を所有し、自動車や冷蔵庫といった商品をつくり、販売するのに対して、封建性の特徴は、そのような生産活動を行わずに、独占によって富を増やしていくことにある。封建領主は、自分では何も生み出さない。農奴に自分の土地を耕させて、地代を奪い取る」
新しい封建制は似たようなやり方で、「デジタル空間のクラウド上で、人々から利子や手数料、特許ライセンス利用料といったレントをふんだくる」とー。
確かに日本のデジタル赤字は米国に対し、年々増え、昨年で7兆円ほどとされる。
中国は独自のプラットフォーム企業を持っており、今後ますます米中により、世界中のプラットフォーム地代の搾取が進む。
バルファキスのテクノ封建制という概念には、さまざまな論争もあるいろいろ議論もされているようだ。
「監視資本主義」や「プラットフォーム資本主義」や「レント資本主義」など、資本主義の発展段階として捉える議論もあるようだ。
いずれにしても、ついていけないほどのテクノロジーの進歩。AIが普及すれば、真実をどう判定するのかもAIとアルゴリズム次第かもしれない。