サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

デジタル・デモクラシー⑩ デジタル農業ナラティブ

 デジタル・デモクラシーのつづきです。

 「デジタル農業は、効率的で環境的で持続可能かつ公平な農業・食料システムを構築し、持続可能な開発目標(SDGs)達成に貢献する」--世界銀は、次のように言う。
 「新しい技術は、すべての人に恩恵をもたらします。農家が携帯電話のアプリで土壌の肥沃度や作物の健康状態について学ぶことに、誰が反対できるでしょうか? 農産物の販売先である市場と消費者と、より直接的な関係を提供するデジタル・サービスに反対ですか?」
 世界の飢餓人口を削減するために、農産物を効率的かつ大量に生産するために---といった「ナラティブ(物語)」が広げられている。
 これに対し、世界の小農民の運動体である「ビア・カンペシーナ」や「食料主権のためのアフリカ連合」などは、農民の立場と視点から農業と技術のあるべき姿を提案している。
「アグリ・テック企業は、長い間、農業の生産性の向上や食料不足の解決には最新の技術が必要だという認識のフレームをつくり、どの時代も結果的に利益をあげてきたからです。このフレームをコントロールする者は計り知れない力を持っています。農業に限らず、植民地主義や資本主義、帝国主義、白人至上主義、家父長制などの抑圧制度を支える枠組みは、不当な権力構造を維持することで利益を得る人々によってどの時代も強化されてきた」
「飢餓は、単に技術や収量の問題で起こっているわけではありません。食料は足りているのにその配分が公正になされていない。そこには政治や権力の問題があります。~~私たちは主権、所有権、管理といった全体像の問題問題に焦点を当て戦略的に議論を立てる必要があります」。と、たくさん引用しました。
 日本でも米国でも農業者の約9割は家族農業が担っているそうだ。世界中の中小規模農家、販売業者、消費者が交流し、それぞれの自己決定権を取り戻す必要がある。
 デジタル農業社会において必要なことは農家の主権であり、農家がそれぞれの農業現場で技術を選らぶという「技術主権」の考えが大事、と著者の内田さん。
 そのことが肥料や農薬などに依存せず、生態系の持つ調整機能などの力を活かすアグロ・エコロジー農業、フード・システムの公正、民主的でボトムアップの生産・流通う体制を構築する。
 人新世の時代、生態系の回復につながる農業、流通、消費行動に急ぎ転換する事こそ必要。でなければ、生体系を先頭に人類も崩壊する。

 なんの花でしょう?


 梨の花です。植えてから、すぐに虫にやられ枯れそうになっていたけど、今年6年目。
 実になるかどうかわからない。最近の果物は甘いものが多く、その分、虫がついたり病気になったりしやすい。
 市場に出て私たちが食べている果物は、化学物質にまみれている。害はないのかもしれないが、そんな農業、私は気が進まない。