内田聖子著のデジタル・デモクラシーを読んだ。
ビッグテックがネットを通じていかにデータを蓄積し、監視し、支配を広げているか、わかりやすく書いてある。お勧めの本です。
一方で、それら監視資本主義への市民の闘いが世界で広がっていることも紹介してあり、希望を持つこともできる内容だった。
生体認証(バイオメトリクス)。最近は、顔認識、掌紋(手のひら)、静脈、音声、目の虹彩、眼球血管、耳型、耳音響、さらにはDNAとあるようだ。スマホ、パソコンのロック解除、銀行決済、ビルや空港ゲートの出入りにも使われている。
便利なのだが、その際のデータは蓄積され、アルゴリズムで処理され、個人広告、格付けされ、私たちに戻ってくる。
サンフランシスコ市は、市の公共交通機関による顔認証技術の使用を禁止する条例を可決した。
市議会は、条例可決にあたり、「監視技術はわれわれのプライバシーを脅かす可能性があり、監視の取り組みは、歴史的に人種、民族、宗教、国籍、収入、性的指向、政治的委見解によって定義されるものも含め、特定のコミュニティやグループへの威圧のために用いられました。顔認証技術が市民の権利や自由を危険にさらす傾向は、その主張されている利益よりもはるかに大きく、人種的な不正義を悪化させ、継続的な政府の監視から自由に生きる私たちの能力を脅かします」とした。
市の警察、交通当局などの公共機関が対象。連邦機関、国際空港などは規制対象にならないが、大きな一歩であり、広げることができればデジタル主権に近づく。