岸本聡子さんの「杉並は止まらない」のつづきです。
岸本さんは区長選で、現職区長が進めていた、児童館とゆうゆう館(60才以上の憩いの場)の廃止をストップする公約を掲げた。
しかし職員が計画を見直しすると、実際には、3つの児童館と4つのゆうゆう館は継続できるが、2つの児童館とゆうゆう館は廃止せざるを得ないとの線引きだった。
これについて岸本区長は、どうすべきか悩む。
当然、住民説明会では、「廃止しないで」との反発もたくさんあり、反対署名も多く集められた。
住民の反対とともに、選挙で岸本さんを応援した区議たちも反対したが、それを押し切る形となった。
最終的に岸本区長は、自ら児童館廃止条例案を提出せざるを得なくなり、苦しい立場に立たされた。
同時に、これらのプロセスで生まれてきた「児童館が育んできたものを再評価し、子どもたちの居場所はどうあるべきかという、具体的な議論」が始まったこと、児童少年課の職員は、子どもたちも巻き込んで、住民との話し合いを行ってきた。
ゆうゆう天沼館の機能は、多世代型の施設に移ることになり、その協議会には、反対住民も参加してもらい話し合った。
「真の多世代交流とは、単に多世代型のイベントを数回開催するということではない。子どもの居場所をつくり、そこにシニアの活躍の出番を合わせていくことではないか」などの意見も出され。
そんな意見の議事録を読んだ岸本区長の喜びが書かれているが、これが本当の区長の姿だろうと思う。
児童館廃止が決まった地域では、廃止に反対してきた区議たちは、子どもたちの居場所をなんとかつくろうと、行政との調整を重ね、「出前児童館」なるアイディア出された。
結果、近隣の産業商工会館で試験的に、月2回、児童館職員が出向く出前児童館を行うことになった。
これらの経験を聞くと、ミニシパリズムがいかなるものか理解できる。
対立があっても、話し合い、議論し合い、知恵を出し合い、一致しながら政策を実行していく、住民、職員、議員、区長の参加型の民主主義がそこにある。
トランプ流の独裁--脅しと駆け引きとは真逆の人間的な温かさ。