布施祐仁著(講談新)の「従属の代償」の続きです。
日本は、中国にミサイルを向ける。
中国も日本にミサイルを向ける。
中国は、米本国にミサイルは向けない。
米国は、中国の都市にミサイルは向けない。
つまり米国は、台湾をめぐっては限定的な戦争に留めるつもりでいる。エスカレートしたら核戦争になって双方破局となるからだ。
現実的な米軍の作戦は、最近すすめられている米海兵隊の遠征前進基地作戦(EABO)だ。
これは相手国のミサイルなどが届く脅威圏内の島々などに機動力のある小部隊を分散展開させ、米軍主力部隊が接近できる環境を作り出す作戦。
九州から台湾に至る南西諸島に部隊を展開、レーダーや無人機などで情報取集し、地対艦ミサイルで海上優勢を得ようとするもの。
この作戦に自衛隊の水陸起動団が参加するのは自明で、その訓練を行っている。
「フォース・デザイン2030」
一部引用すれば、
「敵対者の長距離精密火力兵器交戦地帯(Weapons Engagement Zone:WEZ)内で引き続き作戦できる部隊は、残存性を維持するために兵器交戦地帯(WEZ)の外の位置に迅速に機動しなければならない部隊よりも、作戦的に関連性がある。これらの「スタンドイン」戦力は、敵対部隊を消耗し、統合部隊へのアクセス要件を有効にし、ターゲティングを複雑にし、敵対者のISRリソースを消費し、偽善のシナリオを防止する」
当然、同盟国の参加、というか、が主力になって戦うことになる。日本では自衛隊。しかも戦場は、日本国内。中国国内ではないし、米国国内でもない。
台湾人にとって、台湾は生活のためにも必要不可欠。
中国にとって、台湾は、統一のために核心的利益をされる。平和的統一をめざすが、台湾が独立する場合は武力も用いる。
台湾は、米国が政策を方向転換した結果、国際法上は独立国でもないので国連にも加盟していない。
米国にとって台湾は、カリブ海の島々のような位置になく、地球の裏側の島だ。米国本国の安全保障上はあまり関係ない。
台湾が中国に平和的に?武力で?統合されたとしても、米国本国の軍事的安全は全く脅かされない。
脅かされるには、世界の覇権国家としての地位だ。
台湾は、日本にとっては?
かつて日清戦争で中国から奪い、敗戦によって手放した島。台湾は、日中共同宣言で中国の一部と認めて、国交を回復した。
また現在、最大の貿易相手国であり、街は安い物も求める中国人の観光客であふれている。
台湾戦争になるまに、経済制裁を行うので中国からの輸入品は止まる。日本の貿易黒字はなくなる。肥料、種苗、レアアースほか入ってこなくなり、食料が心配だ。