サスティナビリティ考

地球環境、持続可能、政治・経済・社会問題などについて書いています。 メール kougousei02@yahoo.co.jp

レジリエンスの時代③ シンデミック

 レジリエンスの時代の続きです。
 シンデミックとは、社会的・環境的要因と健康・衛生的要因が重なった危機のこと。
 医療人類学者のメリル・シンガーが唱えた言葉で、複数の疾病の流行が重なり合い、正のフィードバックを起こし、負の外部性の悪循環を招くことを説明した。
 医学専門誌のランセットは、2017年に「肥満と栄養不良と気候変動というグローバルなシンデミック」と題する論文が載った。健康と気候変動‥‥はて?


 今や現代人の最大の病気は肥満だという。2015年には肥満が20億人に達し、毎年の死者は400万人、肥満に帰せられるコストの推定値は世界のDGPの2.8%になっているという。肥満から生じる心血管疾患、肺疾患、糖尿病なども加えるとさらに膨大なものになる。
 肥満の要因の一つは、化学肥料、農薬、高収量作物の生産、遺伝子組み換えなど現代農業に行きつく。
 栄養価は高くないがカロリーが高く、脂肪分と甘味料、炭水化物からなるファーストフード、加工食品などを日常的に食べる人が圧倒的に増えたからだ。子どもたちは、そんな食生活で育てられ肥満になるようにしくまれている。また世代はめぐり、肥満の親たちが肥満の子どもを育てるに至っている。
 快適、快感に感じさせる「コンフォート」フードやドリンクと言われるものまであすそうだ。一種の中毒性を持ち、そんな食が止められなくなる。
 それらを生産販売するの食品産業は、貯蔵ができ、世界各地に輸送し、加工しやすい単一の農産物生産を農業に求める。
 農業も輸送も加工も販売も石油に依存し、温室効果ガス排出の原因になっている。それは食品と農業関連で排出量は29%にもおよぶ。(写真はウィキペディアより)