ドーナツ経済のつづきです。
ケイト氏、「21世紀の経済学者は、~、社会や環境に関する調整を真っ先に市場にゆだねようとするのではなく、社会の中でどういうダイナミックな相互関係が成り立っているか問うことから始めるべきだ」とし、「つつき、ネットワーク、規範を利用する」を提起する。社会を指で、ちょっと「つつく」と、効果や如何に?…。
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デンマークの運動家ペレ・ハンセンが学生と行った社会実験が面白い。
「コペンハーゲンの街に出て、通行人にお菓子を配り、その包み紙が路上やゴミ箱や、他人の自転車かごに、どれぐらい捨てられるかを調べた。そして次に、路上に緑色のペンキで足跡を描いて、ごみを持った人をゴミ箱に誘導するようにしたところ、ポイ捨てが46%減った」という。
「これならば罰金、報奨金(市場)なしで、ルールの尊守を促せる。この緑色の足跡は、もとからある社会規範を芸術的に目立たせたものだ」と、、なるほどなるほど。人間というのは、そんなモラルをもっている、いや~納得。
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次にネットワーク効果の事例。
2011年、ブラジルの元大統領ルラ・ダ・シルバァが咽頭がんだと公表し、タバコが原因だったと思うと述べた。
その結果、グーグルでは禁煙の仕方の検索が急増した。その検索数は、「喫煙でデー」をはるかにうわまった。
他にも、2009年、英国のテレビ番組のスター、J・グッディが子宮頸がんであることを明かすと、検診の予約者が43%増えたという。
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こんな例も米国の調査も面白い。
ガソリンスタンドで「無料タイヤ点検」の看板を掲げて、客寄せを行った。その際、タイヤ点検を勧める理由として、金銭面、安全面、環境面のいずれかの理由を添えた。
「お財布が気になる? それなら、当店でどうぞ無料のタイヤ点検を!」
「安全面がが気になる? それなら、当店でどうぞ無料のタイヤ点検を!」
「環境問題が気になる? それなら、当店でどうぞ無料のタイヤ点検を!」
さてさて、一番、お客を増やせたのはどれか?
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結果は、「環境問題が気になる?」だったそうです。環境活動家としては嬉しいですね。
その社会の状況にもよるでしょうけど、その社会の人々が持っている価値観に働きかければ、かなりの行動が引き出せるということです。良い話です。